2019年11月14日木曜日

第3回定例会 10月7日第2部決算特別委員会 無料低額診療制度について

2019年10月7日 第3回定例会第2部決算特別委員会
無料低額診療制度について

第2部決算特別委員会で質問する吉岡市議

【吉岡委員】

 私は無料低額診療制度について質問します。
無料低額診療制度は、社会福祉法の規定に基づき、生活困窮者が経済的な理由で必要な医療を受ける機会を制限されることの無いよう、無料または低額な料金で診療を受けることができるための事業です。
同事業を行う医療機関で無料または低額な料金で診療を受け、処方箋の交付を受けても現在の制度では、調剤薬局は処方箋に基づいて無料か低額な料金での調剤を行うことができません。


無料低額診療制度による診療の効果を十分に発揮するためには、診療を受けた人が薬局において、無料か低額で薬を受け取れるようにする必要があります。
全国で無料低額診療事業は、2000年当時250か所ありましたが、2017年は687カ所に増えています。

 ある院外調剤薬局の報告ですが、無料低額医療の診療を終えた親子の患者さんが調剤薬局に行きました。院外調剤薬局では薬代がかかります。薬局は薬代500円を請求しました。しかし、お母さんは500円でも払えませんでした。親子2人で数キロ離れた自宅から公共交通を使わないで歩いて来たといいます。バス代もないから歩いてきていました。
500円のお金であっても、払うことができなかった。そのことをぜひ、想像してみてください。そういうお母さんの気持ちを、ぜひ、想像してみてください。だから院外薬局の場合では、診療だけで帰る患者さんもいるんです。病院に行きたいけれど、お金がなくて行かれない。早く治してはたらきたい。そう願う札幌市民が利用しているのが、無料低額診療制度です。

 無料低額診療事業を実施する病院に対しては、固定資産税や法人税等の優遇措置を行っていますが、ある医療機関では、無料低額診療事業にかかる費用は、約2億円。一方、免除される固定資産税等は、1億円ほどだといいます。そのような持ち出し分があるのに、事業を行う病院は増え、医療の平等のために努力をしているのです。

 昨年、我が党の質問の中で、本市での無料低額診療を受診している人数、のべで1万人を超えてますが、その数は把握しているが実態は把握していないと答弁されています。  

 そこで質問です。本市は無料低額診療制度の利用者の状況を直接調査し、薬代を補助する事業の実施について検討をすべきだと思いますが、いかかが伺います。

【富樫 総務部長】
 無料低額診療の利用者に関わる調査の実施について、というご質問かと思いますが、無料低額診療事業というものは、事業を実施する医療機関において、医療ソーシャルワーカーなどが、患者さんからの申し出を受けて、事業の実施の可否、減免額、減免方法などを決定する仕組みとなっております。札幌市が対象者の状況を把握する仕組みというものになっているわけではございません。また、医療情報等をはじめとした個人情報につきましては、慎重に取り扱うべき情報でございます。札幌市が個々の利用者の情報を収集することは難しい。このように考えているところでございます。以上でございます。
 

【吉岡委員】
 調査もしない。国に求めるだけ。今までもそうでしたけれども、それではあまりにも冷たいのではないでしょうか。

 2016年度からは、無料低額診療制度により、受診された方の保険調剤薬局での自己負担について、政令指定都市の大都市民生主幹局長会議を通じて国に要望をしていると答えておりましたが、本市はこの間、今の答弁と全く同じように、国には求めますけれども、独自でやる姿勢はありません。たしかに国の制度であり、実施しているのは、今おっしゃられたとおり、民間の医療機関です。しかし、利用しているのは生活に困窮している市民です。

 本市は、この制度を利用しても、薬をもらうことのできない市民がいることに、まっすぐ目を向けるべきではないでしょうか。
本市に今求めているのは、民間の病院に支援してほしいというものではなく、現行の制度を利用しても薬をもらうことができなくて困っている市民に支援して欲しいということです。

 就学援助で言いますとやはり国の制度ですが、対象費目については、各自治体が判断し、必要なら予算を組んで出しています。福祉用具は民間が売っていますが、必要な人が購入するときには本市が補助しています。

 地方公共団体は住民の福祉の増進をはかることを基本とするというのが自治体の役割です。であれば国の制度だから、民間だから手を出さないという姿勢ではなくて、無料低額診療制度を利用することで、生活を立て直すことができる、そういう市民を本市として支援すべきです。

 昨年の質問で、薬代の助成制度を実施している他市をモデルに試算したところ、本市で3か月を上限に実施した場合、年間で1500万円。ひと月の助成ですと年間で500万円程度という答弁でした。18年度の決算黒字で、この予算が組めないような市の財政ではありません。

 旭川市は2013年、一人の人が薬代の助成を受けるのは1か月までという制度でスタートいたしましたが、かかる費用以上の効果が見られたため、今年からは1年間までの助成に拡大しています。

 政令市が国に対して求めている社会福祉関係予算に関する提案、政令市で求めていますから札幌市も求めておりますが、ここに書かれているのは調剤を受けられず治療を中断される方がいるため、制度の趣旨にのっとっているとは言い難い状況ですとおっしゃっております。
本市が先導して取り組むことが、国の制度改善につながるのですから、札幌市で先行して行うべきだと申し上げて、質問を終わります。


 


※10月7日(月)第2部決算特別委員会の音声はこちらからお聞きになれます。