2020年3月28日土曜日

第1回定例会 3月27日 第二部予算特別委員会 討論

2020年3月27日、第1回定例会 第二部予算特別委員会で討論を行いました。文字起こしで紹介します。 

予算特別委員会で討論に立つ吉岡市議(3月27日)


【吉岡 委員】
私は日本共産党所属議員を代表して、本委員会に付託されました議案18件中、議案第1号中関係分、第5号から第7号、第12号、第16号中関係分、第19号、第21号、第25号、第26号の10件に反対。残余の議案8件には賛成する立場から討論を行います。

議案第1号、一般会計予算中関係分に反対する理由は、母子保健システム、国保システム、介護保険システムのマイナンバー制度対応システム改修費などに6,018万2,000円が計上されているからです。情報は蓄積されるほど利用価値が高まり、攻撃されやすく情報漏洩を100%防ぐ完全なシステム構築は不可能です。それにともなうセキュリティ強化のため際限なくシステム改修に費用がかかり続けることから反対です。

次に議案第5号、国民健康保険会計予算に反対する第一の理由は、保険料が高すぎて払えないためです。国保加入世帯の平均所得は、1999年146万円から今年度は95万5,000円と大きく減っており、来年度の保険料が今年度比で2,633円減の14万7,839円になるとはいえ、協会けんぽの2倍という加入者の所得と比べ負担は重いものです。軽減する仕組みを検討すべきです。
 第二の理由は、大量の資格証明書の発行があるからです。2020年3月1日で資格証明書が4,564世帯に発行されています。資格証の発行は資力がありながら故意に支払わない悪質滞納者に限るべきです。資格証が発行されると病院の窓口で10割払わなければならず、受診抑制が起こります。

議案第6号、後期高齢者医療会計予算は、保険料算定の基本となる保険料率で、均等割りが5万205円から5万2,048円など引き上がるためです。 年金削減と消費税増税のもと高齢者のくらしを一層厳しくし、必要な医療から遠ざけるものであり反対です。

議案第7号、介護保険会計予算についてです。反対の理由は介護保険が導入されて20年が経過しましたが、度重なる制度改悪による保険料、利用料の負担増は高齢者の生活に重くのしかかっているからです。

議案第12号、軌道整備事業会計予算に反対する理由は、これまで本市交通局が担っていた路面電車の事業のうち、運転業務を民間に委託する、上下分離に伴う議案だからです。
上下分離により、市が乗車料金に積極的に関わることができなくなります。市が職員として雇うべき人件費を圧縮する構造であることから、新たな官製ワーキングプアを生み出すものであり反対です。よって関連する議案第25号、ならびに議案第26号にも反対です。

議案第16号、証明等手数料条例の一部を改正する条例案は、一般用医薬品の販売等に関する身分証明書の交付にかかる手数料の値上げが含まれているため反対です。

議案第19号、老人休養ホーム条例の一部を改正する条例案は、アクションプランの受益者負担による、保養センター駒岡の利用料を値上げするからです。これにより宿泊は3,100円から3,200円に引き上げられるなど市民負担増となるため反対です。

議案第21号、札幌コンベンションセンター条例の一部を改正する条例案は、使用料の値上げとなるため反対です。


次に本委員会で取り上げました諸課題について局別に申し述べます。
最初に保健福祉局です。
生活保護についてです。 
がん心疾患などの生活習慣病の予防と早期発見、治療に重要な特定検診は、2016年度の受診率は約5万5,000人、わずか20.3%です。さらに生活保護世帯の特定検診受診者数は、5年間の平均で約400人前後と低調なことから増加に向けた取り組みを進める必要があると認識していると答弁がありました。受診向上のためには受診券を送付すべきです。
またケースワーカーについては、高齢者の生活保護世帯が増えていることから、疾病への対応や介護サービス利用など、受給者それぞれの状況に即した適切な支援が求められ、ケースワーカを手厚く配置することが重要です。職員定数査定状況によりますと、来年度はケースワーカを6人減らす計画であり問題です。十分な配置と専門性の向上が求められます。

介護保険についてです。
地域包括支援センターについてです。生活が困難、また、介護につながらないなどの困難事例については他機関との連携を強め、これら困難事例を今後の取り組みにいかし、必要な人に必要なサービスを提供できるよう求めます。

補足給付は、介護保険施設等の食費や居住費について、所得に応じて負担を軽減する制度です。2005年10月から食費や居住費が介護保険給付から外されたときに創設されたものです。政府が進めている補足給付の要件見直しは、特養や老健などの介護保険施設入居者のうち、年金収入が年間120万円から155万円の方たちは、食費で新たに月額22,000円の自己負担を上乗せするものです。これにより介護施設から出ざるを得ない高齢者や、入ることのできない高齢者を生み出すことに対し、実態の把握を求めました。補足給付の見直しで負担を増やすことは、利用者のみならず介護者家族の家計に重すぎる負担となり、介護保険を支える現役世代にも痛みを押し付けるものであり、制度の改悪はすべきではありません。

障がい者コミュニケーション条例、手話言語条例についてです。 
手話は言語であることを明記した手話言語条例と障がい者コミュニケーション条例に基づき本市は理解促進に取り組むことが求められています。条例についての認知度は10%程度であり、高める取り組みが必要だとの答弁がなされましたのでさらなる施策を求めます。また、専従と登録の手話通訳者は67名で、年間5,000人近い手話通訳要請に十分にこたえることができない実情です。あらゆる場面で通訳を派遣できるよう養成を支援し、報償費の改善を進めるよう求めます。

食品表示法についてです。 
2020年4月から完全施行となる食品表示法は、一般用加工食品に熱量、たんぱく質など5つの栄養成分の表示が義務づけられたものです。道の駅の中で作って売るものは表示義務がなく、地元の農家が自宅で採れた野菜をジュースなどに加工し道の駅で運んで売るものは義務があります。本市の6次産業事業に影響が出ることを懸念します。栄養成分の分析にともなう費用補助と地域資源を商品化している業者が販売先をなくすことのないよう対策を求めます。

経済観光局です。
中小企業・小規模事業所支援についてです。
本市が創設した新型コロナウイルス対応支援資金には1月29日以降、2,426件の相談が寄せられています。資金確保のための認定手続きがスムーズに進むよう求めました。月々の収入がわかるものであれば申請のアドバイスをするとの答弁でした。相談窓口に行く前にあきらめる事業者がいないよう周知することを求めます。国の制度である雇用調整助成金の特例措置や新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金支援金は、事業者に賃金を支払う資産がなければ助成金の申請もできず、従業員の給与を補償するためには事業者は融資を受けるしかありません。融資の利息分など、国の助成金の基準を上回る金額を負担する企業に対し、市が独自に給付を上乗せすべきと求めました。事業者にとって国の制度で不十分なところは、本市が思い切った補正を組み、本市の中小・小規模事業所を守るよう求めます。
2016年経済センサスにおいては市内企業の約8割が小規模企業です。この企業のニーズをどのようにとらえ施策にいかしていくのかただしました。コロナウイルスによる影響について緊急のアンケートを行ったところ、小規模事業者へのヒアリングを実施しているとの答弁ですので、多くの現場の声を聴き取り、小規模事業施策の具体化を求めます。

宿泊税についてです
代表質問の中で市長は宿泊税の導入を表明しました。新型コロナウイルス感染症は終息のめどが立たず、宿泊事業者は苦しい経営状態にあります。北海道経済部観光局と本市の試算によりますと、3月1日時点と同程度の影響が6月まで継続した場合、札幌市は宿泊が約350万人減少、影響額は1,200億円にも上るとしています。定山渓温泉のホテル経営者は、観光業の下降のスピードはすさまじく、市が思っているより現場は大変な状況。間違っても宿泊税の導入はしないでほしいと話しています。とりわけ宿泊税導入の表明は白紙撤回すべきと申し上げます。

最後に都市局です。
高気密高断熱住宅の普及についてです。
家庭におけるCO₂排出量は全国に比べ約4割と高い本市では住宅を高断熱化することが温暖化対策として有効な手段の一つです。新築戸建て住宅を札幌版次世代住宅にする場合は、2014年当初の21%から、2018年は45%と増えています。今後、成果目標をスタンダードレベルに変更するとのことですが、温暖化対策計画との関係でどの程度CO₂が削減されるのか数値として示すべきです。また、すでにピークを迎えている大規模修繕を予定する分譲マンションにも高断熱化を促進することも有効です。外断熱工法による大規模修繕で暖房消費量を30%削減している実例や市営住宅での高断熱化実証実験の結果をいかし、高断熱住宅を促進するよう求めます。

みなし仮設入居者支援についてです。 
胆振東部地震で被災した方々が、災害救助法に基づき民間賃貸住宅を借り上げたみなし住宅で生活していますが入居期間は2年です。里塚地区などは市の復旧工事等の影響で2年を超えても引き続き支援を受けられますが、その他の場合は受けられません。転居の際の敷金なども含め十分に対応すべきです。

市営住宅の家賃減免の見直しについてです。 
市営住宅の家賃減免を受けているのは、所得が著しく低く、生活保護基準以下の所得で、生活保護を受けていない世帯です。2002年には5,893世帯だった家賃減免世帯は、2018年には市営住宅入居世帯の37%にあたる9,106世帯に増加しています。制度の利用者は、減免制度があるから何とか生活できるといっています。それら世帯にアクションプラン2019では、家賃減免の見直しにより2年間で9,549万4,000円の効果額を見込み、入居者の負担を増やす計画です。減免見直しによる、これ以上の負担増はやめるべきです。

以上で私の討論を終わります。 

2020年3月26日木曜日

ハッ!「お元気ですか」を・・・

  第1回定例会も、残すところ1週間を切りました。次の委員会準備をして市役所の時間外窓口を出ると、テレビ塔が9時2分を表示していました。

 家に着くとテレビは東京オリンピックの延期で持ち切りです。

 遅い夕食をとってお風呂に入り、湯船につかってゆっくりしているときに「ハッ」と気が付きました。明日は予算特別委員会があり、今夜中に「お元気ですか」の原稿を作らなければなりません。……というわけで、パソコンに向かっています。

 日曜日の22日、地区委員会が作成した「新型コロナウィルスアンケート」を持って、地域支部の人たちと15軒ほど訪問しました。

 障害のあるお子さんが施設に入っている方や、ご家族が病院に入院している方からは、面会や土日の帰宅ができないため、ご苦労をしているお話を伺いました。

 持病をお持ちの方は、感染するとリスクが高いため、神経を使っていると。また、家の前の道路の舗装や、資源回収のことなど、日常の様々な疑問や要求も次々と出されました。

 「共産党頑張っているね」「情報が必要だね」と「赤旗」日曜版の購読もしていただきました。

 元気をいっぱいもらった行動でした。


 (3月24日 記)

2020年3月19日木曜日

落ち着いて 落ち着いて

 3月14日土曜日、生活相談が入っていて、午前と午後の2度に分けて対応し、それぞれ時間を費やしましたが、解決に向けた方向性が決まり一安心しました。

 この日は、日本共産党の志位委員長のネット中継の「改定綱領学習講座」があり、会場の真栄にある党の事務所で炊き出しをするというので、合間をみて「カレーライス」めあてで顔を出しました。

 集まっていたメンバーの笑顔を見ながらも、慌ただしく食べて動いている私に「落ち着いて落ち着いて」の声が。まるで実家に帰ったような気分で事務所を後にしました。

 そんなところに「裁判の手紙がきたんだけれど、覚えがない」の電話。ラインで写真を送ってもらって見たら、やっぱり「特殊詐欺」です。

 平日は帰宅時間が遅く、なかなか夕食を作れないので、14日は腕をふるってハンバーグとサラダと汁物を作りました。

 15日は一日中、会議などで市役所の市議団控え室。

 今朝は7時半に家を出て、10時からの予算特別委員会にのぞみました。
予算特別委員会で質問する吉岡市議(3月16日、札幌市議会)

 「介護保険の地域包括センター・補足給付」の問題を取り上げ、質問しました。

 介護現場で働いている人たちの声をたくさん聴いて作った質問だったこともあり、力が入り過ぎてしまいました。


(3月16日 記) 

※予算特別委員会の質問の文字起こしはこちらからご覧になれます。
第1回定例会 3月16日予算特別委員会 地域包括支援センター・補捉給付について


 

第1回定例会 3月18日予算特別委員会 みなし仮設入居者支援と市営住宅家賃減免見直しについて

 2020年3月18日 第1回定例会 第二部予算特別委員会で、みなし仮設入居者支援と市営住宅家賃減免見直しについて質問しました。文字起こしで紹介します。

【吉岡 委員】
  私からは、みなし仮設入居者支援と市営住宅家賃減免見直しについて質問いたします。

 1点目はみなし仮設入居者支援についてです。

みなし仮設住宅は、震災などにより住居が確保できない被災者に対し、災害救助法に基づき民間事業者の賃貸住宅を応急仮設住宅として借り上げ、札幌市が提供しているものです。入居期間は2年までとなっており、被災者の住まいと暮らしが再建できるまでの間の支えとなっています。

胆振東部地震以後、95世帯が利用し、現在74世帯が市内の民間賃貸アパートなどに住んでいます。本市は昨年10月からみなし仮設住宅に住んでいる方に、契約期間満了後の住まいの見通しについて調査を行いました。74世帯のうち期限内に見通しが立っているのは18世帯。検討中の世帯は22世帯です。自由意見記載欄には、住宅再建のための資金面や土地の評価額の不安に対しての記載が多かったと聞いております。

本市は被害が特に大きい里塚や美しが丘など4地区については、復旧工事の影響により住宅再建が遅れる世帯については、期間満了後も住宅再建するまでの間の家賃相当額を支払うとしました。
 
 そこで質問ですが、市の復旧工事などの理由以外の、なんらかの事情で満了期間内に再建見通しができない世帯に対しても、一定期間家賃補助をすべきと考えますが、いかがか伺います


【山形 住宅担当部長】
  柔軟な支援をというようなご質問かと思いますが、
市独自の家賃支援の対象としていない場合におきましても、住まいの確保に困ることがないように、対応はしてまいりたいと考えてございます。
具体的には持ち家の再建を希望する方には活用できる支援制度を再度ご案内したり、また、賃貸住宅での生活を希望する方には住宅情報を提供したりするなど、被災者に寄り添った対応をしてまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます。

【吉岡 委員】
 2年にこだわらず支援をしていきたいというご答弁でした。
先ほどの入居者アンケートの意見記載欄には、みなし仮設住宅の延長や、市営住宅や民間賃貸への住み替えについても書かれていたと聞いています。
現在入居している賃貸アパートにそのまま住みたいという方も移転となるわけですが、その場合基本的には再契約のための費用などがかかります。もちろん現在入居している賃貸でなければ再契約費用がかかります。また、市営住宅に移転する方も初期費用がかかります。 

 そこで質問ですが、転居あるいは再契約には費用がかかります。本市として一時金等の支援策を講じるべきと思いますがいかがか伺います。

 【山形 住宅担当部長】

 一時金、一時的に費用にかかる支援というような、ご質問でございます。具体的に費用支援といいますか、加算支援金というものが転居される場合出ますので、そのへんもご案内させていただきますけども、みなし仮設住宅を再契約して引き続き住み続けたいという方に対しましては、スムーズに再契約が進みますよう、貸主とも連絡調整を行うなどの支援を行っていく予定でございます。また敷金など一時的にかかる費用、これが負担が難しいという方につきましては、敷金がかからない住宅の情報を提供するなど居住支援の一環といたしまして支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます。

【吉岡委員】
 貸主との連絡調整などもしていただくというご答弁でした。
何らかの事情があって再建の見通しが立たない入居者の皆さんには、それぞれ様々な事情があると思います。2年の期間が満了になった後の暮らしの再建に向けての最後のお一人まで、相談窓口を明らかにしながら、寄り添った対応をすべきと申し上げます。


 次に市営住宅の家賃減免見直しについて伺います。
市営住宅は、高齢者や収入の少ない人など、住宅を借りにくい人へのセーフティネットとして国と地方団体が協力して健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、低廉な家賃で提供するものです。さらに家賃には減免する制度があります。2002年には 5,893世帯だった家賃減免世帯が、2018年には市営住宅入居世帯24,476世帯の37%にあたる9,106世帯と1.5倍に増加しています。

 そこで質問ですが、家賃減免世帯が増加していることについての本市の認識を伺います。あわせて市営住宅の家賃減免を利用している世帯とはどのような世帯か伺います。

【山形 住宅担当部長】
 減免世帯数が増加していることについての認識、それから減免世帯とはどのような世帯かというようなご質問かと思います。
 市営住宅に入居している世帯の平均所得、これを見てみますと、この10年間ほど大きな変動はございません。そういった意味で、所得減によって減免世帯数が増加しているという風には考えておりません。また委員おおせの通りですね、15年間においてはですね増えておりますけれども、この5年間で見ると減免世帯数というのは、ほぼ横ばいという現状でございます。

家賃の減免制度につきまして、私ども入居時の説明会や広報誌でございます「市住ニュースさっぽろ」というものにおきまして入居者の皆様へですね、周知を図っているところでございまして、減免制度を必要としている世帯へ、この減免制度というものが浸透してきているという実態もあろうかというふうに考えているところでございます。

またもう一つのご質問、家賃減免の対象ということでございますけども、収入が著しく低い世帯で、生活保護基準以下の所得であるにもかかわらず、生活保護を受給しておられない世帯ということでございます。以上でございます。

【吉岡 委員】
 周知されたのが増加の理由であろうというお答えでしたけれども、制度を知っても対象にならなければ受けられませんから、制度の対象になる所得の低い人が増えているということです。減免制度の利用者は、収入が少ないけれど減免制度があるから生活できるといっております。

本市は2013年度から減免制度の見直しを行い、アクションプラン2015に盛り込みました。4年間で3億4000万円減免世帯の負担が増えています。

 次の質問ですが、アクションプラン2019にある市営住宅の家賃減免の見直しによる効果額9,549万4,000円の根拠はどのようになっているのか伺います。あわせて家賃減免のどのランクの人がいくらの負担になるのか伺います。

【山形 住宅担当部長】
 アクションプランの根拠、また、どのような階層世帯に影響があるのかというご質問でございます。

1点目の見直しによる効果というところでございますけれども、この現行の減免基準というものは、平成25年改正時の生活保護基準に基づいておりまして、これに減額率を変えずに現在の生活保護基準に合わせたと仮定した場合、どれだけの方々が減免から外れる、あるいは下のランクになるかというような事を仮定した、あくまで仮定の数字でございます。

それからどの階層世帯に影響があるというご質問でございますが、これも減免制度をどのように変更するかということによって変わってまいります。見直し検討するなかで、その辺につきましては調査をしてまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます。

【吉岡 委員】
 これから検討されるというお話でしたが、見直しは市営住宅の入居者のうち減免制度を利用する最も所得が低い世帯の負担を増やすという事です。これは大変なことです。生活保護基準の引き下げに合わせては大変な問題があると考えます。

2013年2月、第1回定例会の我が党の代表質問で、国が行った生活保護費を740億円削減したことによる、他の制度への影響についての認識を問われ、当時の秋元副市長は、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分に考慮しながらできる限り影響を及ぼさないよう対応することを基本的な考え方としていると答弁しています。また、2015年予算特別委員会で保護自立担当部長は、平成25年度、26年度、27年度と生活扶助費の基準の改定の度ごとに、できるだけ直接の影響が及ばないようにという通知が国から出ていますので、各関係部局に対しても直接的に影響が広がっていかないようにということで通知しておりますと答えています。

本市は今まで生活保護基準の引き下げが他の制度に影響を
及ぼさないようにしてきたのに、アクションプラン2019で市営住宅の家賃減免基準を生活保護引き下げの基準に合わせることにしたのです。

生活保護基準引き下げは、2013年8月から3年間で最大10%引き下げたのに続いて、2018年10月から3年間で最大5%の引き下げを決めました。今年10月からの見直しは、昨年10月からの引き下げに続いて2回目の引き下げです。このように生活保護基準がどんどん下がっていること自体問題です。

その問題ある基準に合わせて家賃減免を改悪すると、家賃が上がる世帯が増え、今まで減免を受けることでなんとか暮らしていた世帯がその対象から外れてしまうことになります。
健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、低廉な家賃で提供するという趣旨から大きく逸脱し許されるものではありません。

減免制度の趣旨にそぐわない生活保護基準の引き下げに合わせることは行うべきではなく、市営住宅の家賃減免見直しによる負担増はやめるべきと申し上げ質問を終わります。

 質疑の音声はこちらからお聞きになれます。

2020年3月17日火曜日

第1回定例会 3月16日予算特別委員会 地域包括支援センター・補捉給付について質問

2020年3月16日 第2部予算特別委員会(保健福祉局所管)で介護保険の地域包括支援センターと補捉給付について質問しました。文字起こしで紹介します。
第二部予算特別委員会で質問する吉岡市議(3月16日)

 【吉岡 委員】
 私からは介護保険で定められた地域包括支援センターと 補足給付の2点について質問させていただきます。はじめに地域包括支援センターについて質問いたします。
 
 2000年に始まった介護保険制度から20年が経過しました。この間、度重なる制度改悪によって高齢者へのサービス抑制と、保険料、利用料の負担は重くなる一方です。
政府がそのたびに強調する制度の持続可能性の確保は、利用者や家族の生活の継続でも、介護事業の継続や、職員が長く働き続けられることでもありませんでした。

 2012年からは入院から在宅へ。医療から介護へ。さらに介護から市場・ボランティアへと地域包括ケアの構築の元、安上がりな制度へと進められてまいりました。
2017年の法改正では、地域包括ケアは高齢者だけではなく障がい者も含めた全世代型の地域包括ケアに切り替えられています。

 地域包括支援センターの役割は、総合相談支援業務、権利擁護業務、包括的・継続的ケアマネジメント支援業務、介護予防ケアマネジメント業務の4つです。このような中で高齢者や地域包括支援センターが何に困っているのか把握することが必要だと思います。

  昨年8月、2019年度第1回札幌市地域包括ケア推進会議、地域包括支援センター運営協議会が開かれた際の資料では、2018年度の困難事例支援が265件となっています。 
 そこで質問ですが、困難事例とは具体的にどのような内容で、どのようして対応したのか伺います。

 【石川 地域包括ケア推進担当部長】
  地域包括支援センターが扱う困難事例と、その概要についてとしてお答えいたします。 地域包括センターは高齢者やその家族からの相談に対応するほか、また地域のケアマネージャーからの相談にも応じている状況でございます。

困難事例としましては、単身高齢者が増えまして、地域の結びつきが失われつつある中で、例えば認知症が疑われ生活に支障のある方、また住まいの問題や消費者被害にあわれた方、精神疾患と生活困窮を同時に抱える方など、相談内容が非常に複雑化し多様化してきている状況でございます。

対応につきましては、現在、地域包括支援センターを中心に日頃から関係機関と連携するほか、消費者センターや弁護士など専門職とのネットワークを構築し、課題解決に向け対応を行っているところでございます。以上でございます。

 【吉岡 委員】
 つづいて質問いたしますが、265件の困難事例の総括的な分析や評価、課題はどのように把握しているのか。困難事例支援の解決方法など共通認識にすることや、ノウハウの継承などは、どのように行っているか伺います。

【石川 地域包括ケア推進担当部長】
 困難事例の集約また評価、ノウハウの継承のご質問かと思います。札幌市におきましては各センターで運営しております個別地域ケア会議で個々の事例について集約、また分析、課題抽出などを行っており、そこから明らかになった共通する課題を地域や区、また全市レベルの地域ケア会議において共有し、解決に結びつける仕組みを整理しているところでございます。さらに各センター間で支援方法などについて情報を共有し、具体的な対応策を検討することで、各センターのノウハウを他のセンターにも活用いただける機会を設けているところでございます。以上でございます。

【吉岡 委員】
 困難事例やまた、その困難事例の評価や課題、そしてノウハウの継承とご回答いただきました。

このような困難な方々に必要なサービスをどのように提供するのかが大切だと思います。 困難事例が2018年1年で265件もあるということで驚き、胸が痛みます。2018年度の地域包括ケア会議、地域包括支援センター運営評議会では、札幌市において支援につながらない方が多いということも出ております。介護に結びつかない高齢者は介護サービスを受ける費用が心配なのか、それぞれの理由があろうと思いますが、ここに表れている数字というのは氷山の一角ではないでしょうか。

今年度の会議の議事録では困難事例についての具体的な話し合いがなされていないようですので、議題にしていただき、他機関との連携をさらに強めるなど、困難事例を活かした取り組みにさらに力を入れていただきたいと思います。

 次に補足給付の見直しについて質問いたします。
補足給付は介護保険施設等の食費や居住費について、所得に応じて負担を軽減する制度です。2005年10月から食費や居住費が介護保険給付から外されたときに創設されました。

2021年度から始まる第8期介護保険事業計画に向けて、今政府が進めている補足給付の要件見直しは、特養や老健などの介護保険施設入居者のうち新たに設けられた第3段階2の方が食費で新たに月額22,000円の自己負担を上乗せされるとし大問題となっています。第3段階2というのは 年金収入が年間120万円から155万円の方たちです。

 特養に入居している90歳代の女性は昨年入所し、夫も高齢者住宅に入所しています。お二人には帰る家はありません。女性は要介護5で自分の体を思うように動かせず、生活全般において介助が必要です。認知症も進行しており言葉でコミュニケーションを取ることが非常に難しく、手厚い介護が必要で受け入れ施設は限られています。

この女性の年金は月10万円です。入所費用は介護保険分24,600円、食費19,500円、居住費39,300円でこれを合計すると83,400円。残りの16,600円から介護保険料や医療保険料そして医療費を払います。しかし政府が今進めようとしている補足給付の改悪で、食費は現在の19,500円に22,000円が上乗せされると10万円の年金では到底足りません。家もたたんで特養に終の棲家として暮らしている高齢者を政府は退所しろというのでしょうか。

2015年から補足給付の所得基準に起算要件が加わり、2016年には非課税の障害年金や遺族年金も収入とみなされるようになって補足給付は立て続けに縮小されています。

「21世紀老人福祉の向上を目指す施設連絡会」は、昨年10月から全国1万の特養老人ホームなどの施設長を対象にアンケート活動を行い、2,363通の回答が寄せられたことを発表しました。アンケートではこの間の改定で支払い困難を理由に退所した事例が113件、そのうち4割が「補足給付の見直し」と答え、家族の経済状況の変化も多く上げられました 

 そこで質問です。自己負担が上がり、さらなる補足給付の改悪で自己負担が上がり、介護保険施設から出ざるを得ない高齢者、入ることができない高齢者を生み出すことに対し、本市の認識を伺います。あわせて実態を把握すべきと思いますがいかがか伺います。

【石川 地域包括ケア推進担当部長】
補足給付の見直しと実態調査についてお答えいたします。

1点目の補足給付の見直しにかかる認識についてでございますが、国においては介護保険制度の持続可能性の確保のため補足給付などに関する給付のあり方について、負担と給付のバランスや公平性の観点から様々な検討が行われたと認識しております。
従前から札幌市におきましては、介護保険制度全体として低所得者の経済的負担などに配慮した制度設計がなされるよう繰り返し国に求めてきたところでございます。今後も引き続き国の動向を注視し、低所得者を含めた高齢者へのサービスの提供に支障が生じないよう介護保険の運営に努めてまいりたいと考えております。

2点目の実態調査についてでございますが、現時点では国の審議会において補足給付などに関する給付のあり方についての意見が提示されている段階でございますので、まずは札幌市としては今後も国の動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。

【吉岡 委員】
 先ほどの女性の要介護5、認知症もあって帰る家もない高齢者が、年金収入より入所のための費用が上回るから入所の継続ができないという状況をつくりだすことは大問題ではないでしょうか。高齢者のくらしの継続ができないで、政府がいう制度の持続性の確保にはどんな意味があるのでしょうか。

90歳の女性の事例のようなことは、これは一人や二人ではありません。多くの方が介護費用を捻出するために大変な思いをしています。それでも年金だけでは難しいから家族の支援を受けて入所している人も少なくありません。負担増は利用者のみならず、介護者家族の家計に重すぎる負担となり、介護保険を支える現役世代にも痛みを押し付けるものです。

改悪されたらどうしようかと困っている市民がいるのですから、本市が実態をつかむのは当たり前です。2021年度補足給付の大改悪で高齢者の限りある春をけして涙で曇らせないでください。「制度の改悪はすべきではないと」本市として国に求めるべきと申し上げて質問を終わります。

質疑の音声はこちらからお聞きになれます。 


市議会の委員会中継のホームページに動画がアップされました。
動画は こちら からご覧になれます。


2020年3月12日木曜日

3・8国際女性デー

 3月8日の国際女性デー集会も感染症防止のため中止。

 記念講演は映画『新聞記者』の原案となった本の著者、望月衣塑子東京新聞記者だっただけにとても残念でした。


 国際女性デーは1904年、アメリカで女性達が参政権を求めてデモを行ったのが原点です。

 日本の男女平等の度合いは153カ国のうち121位で先進国では最低水準。

 政治進出も遅れていますが、共産党市議団は10人中8人が女性。子育て中の2人の議員は、保育、児童虐待、教育の問題を自らの問題と捉え、そして涙もろくてたくましい。


 私はといえば感染予防もあって仕事漬けのこの頃でしたが、女性デーの8日、久しぶりに友人たちと厚別区にある六花亭の喫茶室で豆ごはんの定食とイチゴパフェ(ミニ)とコーヒーとおしゃべり。

 きょう、小腹が空いたので、六花亭で買ってきたサイロ形のクッキーを手に取ると、お菓子の包みに道東の子どもの詩が印刷されています。

 「ぼくの家には妹がいる。ご飯は少しずつ食べる。アリのような口で……」で始まり、お母さんは「たくさん食べることができる。そうじきのような口で……」最後は「長生きしてね」と。

 サクッとしたクッキーを吹き出しそうになり、そしてじわっと温かい気持ちが胸に広がりました。

 (3月10日 記)

2020年3月5日木曜日

建設産業活性化プラン

 新型インフルエンザの話題で持ちきりですが、清田区の方から「地下鉄などの釣り手の消毒などはしているようだが、エレベーターはどうなっているのか」と意見が寄せられたので、交通局に聞いてみましたが、「消毒薬がなくてエレベーターの消毒はできない」という回答でした。

 また党市議団には、子育て中のお母さんから、「BCGの予防接種や乳幼児健診が、一律無期限延期となった。5日から予防接種をしない事を3日に通知された。熊谷市などは感染予防に十分配慮したうえで実施している」と札幌市の対応に不信との相談が寄せられました。

 そのような中、3月2日、市議会ではいっせいに常任委員会が開かれ、私は建設委員会に参加し質問しました。
建設委員会で質問する吉岡市議(3月2日)

 札幌市が計画中の「建設産業活性化プラン」はインフラ整備に加え、災害支援や除排雪など地域の守り手としての役割を持つ建設産業で、特に若年層の担い手不足を解消することを目的としています。

 札幌市は企業アンケートの実施や「週休2日工事」の発注を増やしています。

 担い手の確保のためには、賃金がちゃんと払われているか、有給や休みはとれているか、当事者である建設従事者の声を第一に、そして下請け企業の実態把握と意見にしっかりとよりそった改革が必要です。

(3月4日 記) 


質問の文字起こしはこちらからご覧になれます。
第1回定例会 建設委員会 下水道ビジョンについて(3月2日)
第1回定例会 建設委員会 建設産業活性化プランについて(3月2日) 

2020年3月4日水曜日

第1回定例会 3月2日建設委員会 下水道ビジョンについて

 2020年第1回定例会 3月2日建設委員会で下水道ビジョンについて質問しました。文字起こしで紹介します。
建設委員会で質問する吉岡市議(3月2日)

【吉岡 委員】
 【質問 ①】私からは、重要管路の耐震化について質問させていただきます。取り組みの方向性の第2に「災害に強い下水道の構築」とあります。ここには課題として「地震時の下水道機能を確保するため、機能の重要度などを考慮し、管路・処理施設の耐震化を計画的に進める必要があります」と書かれていますが、重要な管路とはどのような管路のことか伺います。また管路の総延長は8300㎞とのことですが、そのうち重要管路は何㎞か。現在の耐震化はどのように進めているか伺います。

【善徳 事業推進部長】
 管路の耐震化についてお答えいたします。まず重要な幹線というのはどういう管路かというご質問でございましたけれども、これは地震直後の緊急輸送を行うために市外や市内各地の防災拠点などを連絡する緊急輸送道路、これに埋設された管路。あるいは防災拠点や災害時の拠点となる病院から処理場までを結ぶ管路。こういった被災時の影響度が大きい管路のことでございます。何㎞あるかということでございますけれども、本市では約1600㎞の管を位置付けております。

 どのように進めている、進捗ということでお答えさせていただきますけれども、平成13年から14年度、および平成24年度に実施した調査によりますと、ほとんどの管で耐震性があるということが判明してございます。しかしながら、ごく一部ではありますけれども、テレビカメラ調査によりまして、旧基準の「継手構造」を持つ管路が判明した場合におきましては、順次耐震化を実施しておりまして、令和元年度、今年度までに6.5㎞の耐震化が完了することになっております。以上でございます。

【吉岡 委員】
 毎年耐震化の調査をしているということですけれども、何㎞調査して、そしてそのうえで改築はどの程度しているのか伺います。

【善徳 事業推進部長】
 何㎞調査しているかということでございますけれども、
テレビカメラ調査。これは年間だいたい200㎞~ 220㎞、毎年行っております。これは耐震化のみならず管路の老朽化、50年以上たって古い管で大丈夫かという部分がございますので、それもただ古いところを直すのではなくて、古いところを調査しまして悪いところを直すということで、効率的に効果的にやっているということでございますので、だいたい220㎞前後行ってございます。

【吉岡 委員】 
 管路、ほぼ耐震性があるということで、先ほどの質問の中にもありました。 毎年220㎞調査して、そしてそのうえで老朽化しているところを改築しているということでしたけれども
【質問 ②】「管」は 耐震性はあるけれども「古い継手」があれば「管路」の耐震化というのはまだだというそういう認識でよろしいでしょうか

【善徳 事業推進部長】
 旧基準の継手におきましても、例えば現実的に30年に起こりました胆振東部地震におきましても、ほとんど被害はございませんでした。ただ旧基準という事でございますので、今の基準じゃないので、今後ますます年数がたった場合に地震等の影響を受ける可能性がございますので、旧基準につきましても、わかりしだい直していっているということでございます。

【吉岡 委員】
 毎年210㎞の管路の調査ということですけれど、対象となる管路は重要管路の1600㎞を対象なのかそれとも8300㎞に対しての210㎞なのか伺います。

【 善徳 事業推進部長】
先ほどもお答え申し上げましたけれども、テレビカメラ調査といいますのは老朽化の部分も調べていますので、市内全体の8300㎞を対象として行っているものでございます。以上でございます。

【吉岡 委員】
【質問 ③】私は重要管路の1600㎞を優先して調査して「古い継手」を耐震化させることが大事だと思いますけれども、現状はどのようになっているのでしょうか。

【善徳 事業推進部長】
 緊急輸送路、重要なところをしっかり調査してというお話でございましたけれども、この8300㎞をテレビカメラ調査するのに周期を、平成27年3月に策定いたしました「改築基本方針」というものにおきまして、何年に一回この分はちゃんとチェックしようということで周期を決めてございます。
そのなかで例えば緊急輸送路であれば20年に1回はきちんとチェックをしようということで、重要なところについては周期を短くしております。住宅地という細い管とかというところにつきましては60年に1回ということでございますので、比べましてかなり年数を、サイクルを短くして、きちんとチェックをしようということで、やっているところでございます。以上でございます。


【吉岡 委員】
 2018年の胆振東部地震では地下鉄東豊線の東区の東15丁目の屯田通りなど総延長11.65㎞で下水道の管路被害を受けました。今後、地震災害が高い確率で発生が予想されている地域だけでなくて、どこで大きな地震が起きても今おかしくないのが日本列島です。北海道も例外ではありません。そのような中で下水道の耐震化、とりわけ重要管路の耐震化は極めて重要な課題です。
「札幌市下水道改築基本計画」に示されており、先ほどの答弁もあったわけですけれども、まだまだ重要管路の耐震化は残っているところがあると思いますし、重要な管路1600㎞の調査を最優先して、毎年210㎞ではなくて、もっとスピードを上げる、そういうビジョンにすべきと申し上げまして質問を終わります。 




質疑の音声はこちらからお聞きになれます。





 

第1回定例会 3月2日建設委員会 建設産業活性化プランについて

2020年第1回定例会 3月2日の建設委員会で 建設産業活性化プラン(案)について質問しました。文字起こしで紹介します。

建設委員会で質問する吉岡市議(3月2日)

【吉岡 委員】 
 私からも、いくつか質問をさせていただきます。
「建設産業活性化プラン」は、50代60代中心で若年層が少なく、将来の担い手不足が深刻な本市の建設産業の活性化を図るものです。建設産業は「インフラの整備維持」に加え「災害時対応」「除排雪」など、安全・安心な市民生活を支える、非常に重要な役割を果たしているということは冒頭のご説明でもありました。
 
 【質問 ①】質問の第一はアンケートについてです。
本市はプランの作成にあたって、札幌市内1056社の建設産業企業を対象にアンケート調査を行いました。
 回収率41%、週休2日の取り組みや、就業環境の改善、助成制度の活用などの項目で2018年と2019年に2回行いました。
 このアンケート調査から読み取れるものは何か。
「担い手確保」のためのアンケートであるなら、従事者の声を第一に聞く必要があると思いますが、どうお考えか伺います。

【天野 土木部長】
 まず1点目のアンケート調査の結果から読み取れるものについてお答えいたします。建設企業への調査の結果では人材不足の状況にあると回答した企業が89%であり、さらに人材確保の見込みについてはすでに問題となっていると回答した企業は50%、また今後不足が懸念されると回答されたものを合わせると93%となっております。このことから多くの企業で人材確保が喫緊の課題となっていることを改めて確認できたところでございます。また就業環境の整備改善の取り組みについては、取り組んでいると回答した企業が71%であった一方、週休2日ですとか、ワークライフバランスの取り組みなど、個々の取り組み内容について見てみますと、まだ十分に浸透していない状況であることがわかったところでございます。
 
 次に担い手、従事者に直接アンケートを実施すべきではという質問にお答えいたします。今回実施したアンケートは、企業の人材不足の状況や担い手確保に対する意識や課題などの把握などを目的としたことから個々の従事者を対象とはしておりませんでした。なお有識者らによる検討委員会においては、建設企業の従事者2名の方にも委員として参加していただき、様々なご意見をいただいたところでございます。今後具体的な取り組みを進めていくなかで、業界との意見交換会における議論などもふまえ、従事者の意見を聴く機会を設ける場合もあるというふうに考えております。以上でございます。


【吉岡 委員】
 このプランの目的は、建設業界で深刻となる高齢化と人手不足をどうするのか、とりわけ若者が集まらない問題をいかに打開するかということだと思います。プランによると道内の建設業就業者に占める29歳以下の割合が減少し続けております。この危機的な状況をいかに打開していくかが今回のプランだと思いますし、そうであるならやはり、下請けで実際に働いている技能労働者の生の声に耳を傾けることが欠かせないのではないかと思います。もちろん、企業の声を聞くことは大切ですが、実際に働いている若い技能労働者の声を聞くことなしに、実効あるプランにしていくことはできないのではないかと思います。
 
【質問 ②】
次に「週休2日工事」の実施拡大について伺います。 

 若年層の入職先として選ばれる産業を目指すうえでも、また建設産業の長時間労働を是正するうえでも「週休2日工事の実施の拡大」は重要です。本プランには「工事での週休2日実施を希望する企業が導入しやすい環境を整えるため、週休2日を前提とした工期を確保し、可能な限り週休2日工事を採用します」とありますが、本市が発注した「週休2日工事」の件数、工事の請負額はいくらか。全体の工事に占める割合はどのくらいになるか伺います。「週休2日工事」を発注した場合、元請けだけではなく、二次三次下請けの従事者が休工日に休めたのか。「週休2日工事」を行った下請け業者からはどんな声が寄せられているか伺います。


【 添田 工事管理室長】
 まず平成30年度、および令和元年におけます「週休2日試行工事」の件数と発注金額。および全体の工事件数と発注金額。並びにそれに対する割合についてお答えいたします。

 まず「週休2日試行工事」の実績につきましては、設計金額が500万円を超える全契約工事の比較でいたしますと平成30年度に契約した工事は1263件。当初契約額の合計にしますと約897億円であります。そのうち「週休2日試行工事」は8件、19億円となっています。割合にしますとそれぞれ1%と2%という形になってございます。また令和元年度に契約した工事は1282件、1035億円であります。そのうち「週休2日試行工事」におきましては71件と95億円となってございます。割合はそれぞれ6%と9%という事でございます。
 
 次に「週休2日試行工事」の下請け企業のアンケートに寄せられた意見がどのようなものだったのか。また下請け企業についても休日は確保できたのかということについてお答えいたします。
 平成30年度に発注いたしました 8件の試行工事うち、これまでに竣工した7件の工事では、いずれも4週8休の週休2日という現場閉所を行いまして、いずれも達成しているところでございます。
 その7件の工事の下請け企業を対象としたアンケートに寄せられました意見といたしましては、休日が増え、稼働日数が減るとどうしても日給月給の方が収入減少となることから、労働者の単価上昇を望むといった声がありました。また週休2日を進めることで若手技術者の入職を期待できるという声もあったところございます。
 また下請け業者の休日取得の件でございますけれども、従業者の約7割が休日を確保でき、約2割が他の現場で働いたといった回答がございました。令和元年度につきましても引き続きアンケートを実施いたしまして実施状況や課題の把握に努めているところでございます。以上です。


【吉岡 委員】 
 私もアンケートを見させていただきました。
2018年度の週休2日工事の下請け企業86社中、55社から回答があって、そのうち23件の意見や要望が寄せられておりました。なかでもそのうちの12件が労務費に関しての意見でした。今お話にもありましたように下請けの企業にとって、この週休2日の中で労務費をしっかり確保するというのが本当に大変だということが伝わってくる、そういう意見が寄せられておりました。下請けのみなさんからの、この声に寄り添った対策が求められます。

【質問 ③】
次の質問ですけれども下請け契約等の適正化に関する啓発の強化についてです。
契約や賃金などが適正に行われるよう、本市はこれまでもすべての入札参加者に対する啓発指導文書を年2回送付していますが、プランでは新規事業として「国の通知の周知徹底に向けた情報発信など、実効性を高めるための取り組みを検討」と書かれています。どのように検討されたのか伺います。


【天野 土木部長】 
 下請け契約の適正化の取り組みについてお答えをいたします。下請け企業を含む建設産業の持続可能な体制を確保するためには、元請け下請け関係の適正化による経営基盤の強化が課題の一つと考えております。そのため下請け契約の適正化に関する企業の役割と、啓発の強化に関する本市の役割を、それぞれ施策に掲げ推進していくこととしております。
  札幌市においては入札参加者に、先ほどお話がありました通り、啓発指導文書を送付するなどの取り組みを行っておりますが、今後より一層効果的な啓発について検討してまいりたいと考えてございます。以上でございます。


【吉岡 委員】
 下請け契約の適正化、そして技能労働者の処遇改善に向けた取り組みは私は特に重要な問題だと思います。今回のプランを作成するために行った1065社を対象としたアンケートには、賃金の実態を把握する項目がありませんでした。労働環境の改善は様々求められているわけですけれど、下請けの若い技能労働者の賃金改善が最も重要であり、求められていると思います。
本市が行っている「元請け・下請け関係の実態調査」でも、賃金を把握するものにはなっていません。しかし、国土交通省は、建設業者約1万4000社を対象に毎年実施している「下請け取引等実態調査」で、技能労働者の賃金実態を明らかにさせています。設問では設計労務単価を「そのまま使用しているか」どうかを問うものになっています。

 私は、本市においても、やろうと思えば可能なことであり、このプランを実効あるものにするためにも、賃金実態を把握していくべきだと求めて質問を終わります。 


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