10月1日の総務委員会で、議案第13号「札幌市個人情報保護条例の一部を改正する条例案」の質疑と討論を行いました。
今までの条例が廃止されることで、企業等から求められれば、本人の同意がなくても非識別加工情報として提供することが可能になります。
非識別加工情報は、蓄積されればされるほど個人を特定できるようになり、プライバシー権を侵害しかねないため、日本共産党所属委員を代表して反対の立場で討論を行いました。
吉岡弘子議員=10月1日、総務委員会 |
以下、質疑と討論を文字起こしで紹介します。
【委員長】
次に議案第13号「札幌市個人情報保護条例の一部を改正する条例案」を議題といたします。質疑を行います。質疑はございませんか。吉岡委員。
【吉岡弘子委員】
今回の条例改正は、国のデジタル関連改革法の一つである、デジタル法設置法およびデジタル社会の形成をはかるための関係法律の整備に関する法律に伴うもので、地方自治体に新しい個人情報保護法が適用されるのは2年後の2023年春と伺っています。
私からは1点だけ質問させていただきます。本市の保護条例第10条では「実施機関は個人情報の電子計算処理を行うにあたっては、電子計算機の結合により、個人情報を実施機関以外の者に提供してはならない」とありますが、個人情報保護法が適用し、一元化されたら第10条の扱いは、どうなるのか伺います。
【槙 行政部長】
行政部長の槙でございます。 個人情報保護法が適用された後に、電子結合による提供の制限と扱いはどうなるのかというご質問についてでございます。
札幌市の個人情報保護制度につきましては、お話がありましたように、令和5年春までに個人情報保護法によりまして、全国共通のルールが適用されるということになりますため、札幌市が持っております個人情報保護条例を廃止したうえで、この法律に基づきます開示請求の手続きなどを収めました、新たな条例を制定をするということになると考えているところでございます。
現在の条例第10条では、市の外部の委員で構成されました、札幌市情報公開・個人情報保護審議会が認めたときなどを除きまして、電子計算機の結合によります個人情報の提供を制限しているところでございます。
それに対しまして、新しく制定されました個人情報保護法ですね、この法律では個人情報の漏洩、滅失または棄損の防止のため、必要かつ適切な措置を講じることや、第三者提供の制限等につきまして規制されておりますほか、国の個人情報保護委員会によります、地方自治体に対する法律の運用に関する監視等の規定というものが設けられているところでございまして、適正な運用を担保しているところでございます。
したがいまして、電子計算機の結合によります提供の制限につきましては、これまでのような審議会による手続きにつきましては行われないということになるということでございますけど、この個人情報保護法に基づきまして、適正に運用されることになるものというふうに考えているところでございます。以上でございます。
【吉岡弘子 委員】
本市は行政手続き上の国保や介護それから児童手当など、本当に膨大な個人情報を持っています。個人情報を実施機関以外の者に提供してはならないとされていた規定がなくなれば、提供できることになります。企業などから求められれば、本人の同意がなくても非識別加工情報として提供することになります。非識別加工情報は蓄積されればされるほど、個人を特定できるようになりますから、プライバシー権侵害になりかねません。そのことを申し上げて質問を終わります。
【委員長】
次に討論を行います。討論はございませんか。吉岡委員。
【吉岡弘子 委員】
私は日本共産党所属委員を代表して、議案第13条「札幌市個人情報保護条例の一部を改正する条例案」に反対の立場から討論を行います。本条例案は、国のデジタル改革関連法の一つであるデジタル庁設置法、およびデジタル社会の形成をはかるための関係法律の整備に関する法律の改正等の制定による個人情報の保護に関する法律等の一部改正に伴うものです。
本条例で規定していた、個人情報を実施機関以外の者に提供してはならないとする第10条がなくなれば提供できることになります。本市が持つ所得、国保、介護、児童手当などの膨大な個人情報は、企業等から求められれば本人からの同意がなくても非識別加工情報として提供することになります。非識別加工情報は蓄積されればされるほど、個人が特定できるようになり、憲法が保障するプライバシー権の侵害になりかねないことから、本議案に反対です。
【委員長】
他に討論はございませんか、なければ討論を終了いたします。
それでは採決を行います。議案第13号を可決すべきものと決定することに賛成の委員の挙手を求めます。賛成多数であります。よって議案第13号を可決すべきものと決定いたしました。