2020年3月28日土曜日

第1回定例会 3月27日 第二部予算特別委員会 討論

2020年3月27日、第1回定例会 第二部予算特別委員会で討論を行いました。文字起こしで紹介します。 

予算特別委員会で討論に立つ吉岡市議(3月27日)


【吉岡 委員】
私は日本共産党所属議員を代表して、本委員会に付託されました議案18件中、議案第1号中関係分、第5号から第7号、第12号、第16号中関係分、第19号、第21号、第25号、第26号の10件に反対。残余の議案8件には賛成する立場から討論を行います。

議案第1号、一般会計予算中関係分に反対する理由は、母子保健システム、国保システム、介護保険システムのマイナンバー制度対応システム改修費などに6,018万2,000円が計上されているからです。情報は蓄積されるほど利用価値が高まり、攻撃されやすく情報漏洩を100%防ぐ完全なシステム構築は不可能です。それにともなうセキュリティ強化のため際限なくシステム改修に費用がかかり続けることから反対です。

次に議案第5号、国民健康保険会計予算に反対する第一の理由は、保険料が高すぎて払えないためです。国保加入世帯の平均所得は、1999年146万円から今年度は95万5,000円と大きく減っており、来年度の保険料が今年度比で2,633円減の14万7,839円になるとはいえ、協会けんぽの2倍という加入者の所得と比べ負担は重いものです。軽減する仕組みを検討すべきです。
 第二の理由は、大量の資格証明書の発行があるからです。2020年3月1日で資格証明書が4,564世帯に発行されています。資格証の発行は資力がありながら故意に支払わない悪質滞納者に限るべきです。資格証が発行されると病院の窓口で10割払わなければならず、受診抑制が起こります。

議案第6号、後期高齢者医療会計予算は、保険料算定の基本となる保険料率で、均等割りが5万205円から5万2,048円など引き上がるためです。 年金削減と消費税増税のもと高齢者のくらしを一層厳しくし、必要な医療から遠ざけるものであり反対です。

議案第7号、介護保険会計予算についてです。反対の理由は介護保険が導入されて20年が経過しましたが、度重なる制度改悪による保険料、利用料の負担増は高齢者の生活に重くのしかかっているからです。

議案第12号、軌道整備事業会計予算に反対する理由は、これまで本市交通局が担っていた路面電車の事業のうち、運転業務を民間に委託する、上下分離に伴う議案だからです。
上下分離により、市が乗車料金に積極的に関わることができなくなります。市が職員として雇うべき人件費を圧縮する構造であることから、新たな官製ワーキングプアを生み出すものであり反対です。よって関連する議案第25号、ならびに議案第26号にも反対です。

議案第16号、証明等手数料条例の一部を改正する条例案は、一般用医薬品の販売等に関する身分証明書の交付にかかる手数料の値上げが含まれているため反対です。

議案第19号、老人休養ホーム条例の一部を改正する条例案は、アクションプランの受益者負担による、保養センター駒岡の利用料を値上げするからです。これにより宿泊は3,100円から3,200円に引き上げられるなど市民負担増となるため反対です。

議案第21号、札幌コンベンションセンター条例の一部を改正する条例案は、使用料の値上げとなるため反対です。


次に本委員会で取り上げました諸課題について局別に申し述べます。
最初に保健福祉局です。
生活保護についてです。 
がん心疾患などの生活習慣病の予防と早期発見、治療に重要な特定検診は、2016年度の受診率は約5万5,000人、わずか20.3%です。さらに生活保護世帯の特定検診受診者数は、5年間の平均で約400人前後と低調なことから増加に向けた取り組みを進める必要があると認識していると答弁がありました。受診向上のためには受診券を送付すべきです。
またケースワーカーについては、高齢者の生活保護世帯が増えていることから、疾病への対応や介護サービス利用など、受給者それぞれの状況に即した適切な支援が求められ、ケースワーカを手厚く配置することが重要です。職員定数査定状況によりますと、来年度はケースワーカを6人減らす計画であり問題です。十分な配置と専門性の向上が求められます。

介護保険についてです。
地域包括支援センターについてです。生活が困難、また、介護につながらないなどの困難事例については他機関との連携を強め、これら困難事例を今後の取り組みにいかし、必要な人に必要なサービスを提供できるよう求めます。

補足給付は、介護保険施設等の食費や居住費について、所得に応じて負担を軽減する制度です。2005年10月から食費や居住費が介護保険給付から外されたときに創設されたものです。政府が進めている補足給付の要件見直しは、特養や老健などの介護保険施設入居者のうち、年金収入が年間120万円から155万円の方たちは、食費で新たに月額22,000円の自己負担を上乗せするものです。これにより介護施設から出ざるを得ない高齢者や、入ることのできない高齢者を生み出すことに対し、実態の把握を求めました。補足給付の見直しで負担を増やすことは、利用者のみならず介護者家族の家計に重すぎる負担となり、介護保険を支える現役世代にも痛みを押し付けるものであり、制度の改悪はすべきではありません。

障がい者コミュニケーション条例、手話言語条例についてです。 
手話は言語であることを明記した手話言語条例と障がい者コミュニケーション条例に基づき本市は理解促進に取り組むことが求められています。条例についての認知度は10%程度であり、高める取り組みが必要だとの答弁がなされましたのでさらなる施策を求めます。また、専従と登録の手話通訳者は67名で、年間5,000人近い手話通訳要請に十分にこたえることができない実情です。あらゆる場面で通訳を派遣できるよう養成を支援し、報償費の改善を進めるよう求めます。

食品表示法についてです。 
2020年4月から完全施行となる食品表示法は、一般用加工食品に熱量、たんぱく質など5つの栄養成分の表示が義務づけられたものです。道の駅の中で作って売るものは表示義務がなく、地元の農家が自宅で採れた野菜をジュースなどに加工し道の駅で運んで売るものは義務があります。本市の6次産業事業に影響が出ることを懸念します。栄養成分の分析にともなう費用補助と地域資源を商品化している業者が販売先をなくすことのないよう対策を求めます。

経済観光局です。
中小企業・小規模事業所支援についてです。
本市が創設した新型コロナウイルス対応支援資金には1月29日以降、2,426件の相談が寄せられています。資金確保のための認定手続きがスムーズに進むよう求めました。月々の収入がわかるものであれば申請のアドバイスをするとの答弁でした。相談窓口に行く前にあきらめる事業者がいないよう周知することを求めます。国の制度である雇用調整助成金の特例措置や新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金支援金は、事業者に賃金を支払う資産がなければ助成金の申請もできず、従業員の給与を補償するためには事業者は融資を受けるしかありません。融資の利息分など、国の助成金の基準を上回る金額を負担する企業に対し、市が独自に給付を上乗せすべきと求めました。事業者にとって国の制度で不十分なところは、本市が思い切った補正を組み、本市の中小・小規模事業所を守るよう求めます。
2016年経済センサスにおいては市内企業の約8割が小規模企業です。この企業のニーズをどのようにとらえ施策にいかしていくのかただしました。コロナウイルスによる影響について緊急のアンケートを行ったところ、小規模事業者へのヒアリングを実施しているとの答弁ですので、多くの現場の声を聴き取り、小規模事業施策の具体化を求めます。

宿泊税についてです
代表質問の中で市長は宿泊税の導入を表明しました。新型コロナウイルス感染症は終息のめどが立たず、宿泊事業者は苦しい経営状態にあります。北海道経済部観光局と本市の試算によりますと、3月1日時点と同程度の影響が6月まで継続した場合、札幌市は宿泊が約350万人減少、影響額は1,200億円にも上るとしています。定山渓温泉のホテル経営者は、観光業の下降のスピードはすさまじく、市が思っているより現場は大変な状況。間違っても宿泊税の導入はしないでほしいと話しています。とりわけ宿泊税導入の表明は白紙撤回すべきと申し上げます。

最後に都市局です。
高気密高断熱住宅の普及についてです。
家庭におけるCO₂排出量は全国に比べ約4割と高い本市では住宅を高断熱化することが温暖化対策として有効な手段の一つです。新築戸建て住宅を札幌版次世代住宅にする場合は、2014年当初の21%から、2018年は45%と増えています。今後、成果目標をスタンダードレベルに変更するとのことですが、温暖化対策計画との関係でどの程度CO₂が削減されるのか数値として示すべきです。また、すでにピークを迎えている大規模修繕を予定する分譲マンションにも高断熱化を促進することも有効です。外断熱工法による大規模修繕で暖房消費量を30%削減している実例や市営住宅での高断熱化実証実験の結果をいかし、高断熱住宅を促進するよう求めます。

みなし仮設入居者支援についてです。 
胆振東部地震で被災した方々が、災害救助法に基づき民間賃貸住宅を借り上げたみなし住宅で生活していますが入居期間は2年です。里塚地区などは市の復旧工事等の影響で2年を超えても引き続き支援を受けられますが、その他の場合は受けられません。転居の際の敷金なども含め十分に対応すべきです。

市営住宅の家賃減免の見直しについてです。 
市営住宅の家賃減免を受けているのは、所得が著しく低く、生活保護基準以下の所得で、生活保護を受けていない世帯です。2002年には5,893世帯だった家賃減免世帯は、2018年には市営住宅入居世帯の37%にあたる9,106世帯に増加しています。制度の利用者は、減免制度があるから何とか生活できるといっています。それら世帯にアクションプラン2019では、家賃減免の見直しにより2年間で9,549万4,000円の効果額を見込み、入居者の負担を増やす計画です。減免見直しによる、これ以上の負担増はやめるべきです。

以上で私の討論を終わります。