2022年10月31日月曜日

総合交通政策調査特別委員会(陳情第149号)で質問と討論

2022年10月28日(金)、総合交通政策調査特別委員会

【陳情149号】「北海道新幹線・札樽トンネルから発生する有害掘削土の受け入れを決めた札幌市と鉄道・運輸機構の『協定』の即時破棄、および山口処理場への有害掘削土の搬入工事の中止、ならびに原状回復を求める陳情」の初審査が行われました。

質問と賛成の討論を行いましたが、賛成少数で不採択となりました。

 

陳情を採択すべきと討論を行う吉岡市議(=10月28日、札幌市議会)

 

以下、質問と討論を文字起こしで紹介します。

 

【吉岡委員】

私からも少し質問させて頂きますが、その前に今あの、今の前にこのお話しされていたところで、一言申し上げたいと思います。去年の12月以降、地域協議会を開いているということだったんですけど、地域協議会に出られる方というのは、本当に小さい、小さいというか、そこの地元の町内会の方だけに限られているのではなかったのかなというふうに、私記憶しております。星置の方たちは、住民説明会をしてほしいといっても、なかなかしてもらえなかったんですけれども、そういった、暮らしているのはそこの、処分場がある、本当にそこだけではなくて、風も飛んだりとかいろんなことありますしね、広い範囲でいろんな住民の皆さんが心配されてると思うんですが、そういう方たちの声を聞くような仕組みは、今はないのではないかなというふうに思っています。

それとモニタリングのお話なんですが、先ほどのお話にもありましたけれど、札幌市は確かに手稲の所でね、地下水のモニタリングではいろいろ、ヒ素なんかも調べているんですけれど、粉じんのとこでは量しか調べていないですよね、ですから、その粉塵の、そのヒ素の恐さっていうのを、先ほど少し堀井さんお話されてたと思うんですけど、そういう意味ではあの粉じんの相対量ではなくて、きちっとヒ素がどのぐらい含まれているとか、そういった調査が必要なんじゃないのかなと、そういうことを、住民のみなさんは願っているんじゃないのかなというふうに思って聞いておりました。 

 

 それでは質問させていただきます。札樽トンネルから出る230万立米の掘削土のうち、有害物質を含む115万立米が要対策土で、その中には人体や生態系に害をおよぼす猛毒のヒ素が、基準値の190倍も含有している。このことが2020年の6月、住民説明会の資料で判明いたしました。手稲区山口の処分場では、飲料水の汚染や遮水シートの問題、将来にわたる住民の健康と環境保全への不安を払拭されないままに、昨年12月から搬入されています。

この度の陳情は、手稲区と共に厚別区の山本地区の方も提出者となっております。新幹線札幌延伸工事に関わる陳情は、これまで陳情4号、これは金山地区。陳情13号、14号、これは山口地区。32号は中央区の桑園地区。104号同じく手稲区金山。こういったところから提出されています。有害掘削土の受け入れ反対や、トンネルルートの変更、有害掘削土搬入ルートの変更など、いずれも、新幹線工事に直結する内容です。


そこで質問ですけれど、工事が始まって半年過ぎても陳情が上がってくる。これまで上がった4号、13号、14号、32号、104号に続いて6度目となっています。いずれの陳情も解決されないと工事を進めらない重要な問題だと思いますけれど、この事に対する本市としての認識を伺います。

 

【生野 新幹線推進室長】 

 新幹線推進室長の早野でございます。陳情に対する認識についてお答えをいたします。それぞれの陳情につきましては、その内容や主張が異なりますので、個々の受け止めにつきましては、一概にはお答えできませんが、いずれにしましても、新幹線事業に対して市民の関心が高いが故のものと認識をしてございます。

これまで市議会に提出されました、陳情につきましては、本委員会におきまして、委員のみなさまにご審議いただいたところでございます。札幌市としましては、これまで委員のみなさまから頂いた、様々なご意見や、ご審議の結果をふまえ、事業主体である鉄道運輸機構と連携して事業を進めてきたところでございます。以上でございます。
 

【吉岡委員】
 今、関心が高いということをおっしゃってましたけど、関心が高くて出したわけではなくて、困ってるから住民の皆さんは出しているんです。安全な生活を返してほしい。そういう思いの訴えではないでしょうか。

この度の陳情者が、最も心配しているのは、トンネルから出てくる土砂や粉じんに含まれるヒ素の毒物性が、健康や命、環境におよぼす影響だと話されました。手稲山口は、かぼちゃやスイカなど野菜の生産地としても地下水や粉じん汚染は深刻な問題です。 小さなお子さんをかかえている世帯ではなおさらです。先ほどもヒ素のいろいろなお話がありました。本当に住民のみなさんの健康や命、そして環境に関わる不安に、しっかり寄り添うのが、地方自治体の責務ではないかと私は思います。

秋元市長は、市議会の答弁で、地域住民をはじめ、みなさまの理解を得ず、その先へ進めることはできないといいながら、住民が求める星置地域の説明会は実施しないできました。先ほど陳情提出者から、住民側に公正な意見陳述の場を設けてほしいと要望がありました。陳情提出者が、公正な陳述の場をといったのは、説明会を開催してもらえないまま推移してきた。そしてまた、公開討論会が全くできなかった。そういうことに対する、切実な思いではないかと思います。

そこで質問ですが、札幌市は陳情提出者に対し、意見陳述の場を設けるべきだと思いますが、どのようにお考えですか。また、これまで札幌市に求めてきた公開討論会の開催などは、どのような理由で開催されなかったのか、お聞きいたします。

【生野 新幹線推進室長】

公開討論会の開催についてお答えをいたします。手稲山口受入地における、対策土の受入につきましては、住民説明会や議会における議論などを踏まえて決定したものでありまして、現在、地域協議会において、地元の方々の意見を伺いながら、鉄道運輸機構と連携をして事業を進めているところでございます。したがいまして、あらためて受入の是非について議論するための公開討論会を開催することは考えてございません。以上でございます。

【吉岡委員】
これまでの新幹線工事に関わる陳情は、新幹線そのものへの賛否に関わらず、住民の納得と合意のないまま、強引に進められたことへの訴えです。完成時期を5年前倒しして、新幹線駅舎の計画の変更、札幌工区の高架から地下トンネル化への変更など、国や機構、札幌市が繰り返す計画変更に、市民が翻弄され、合意も納得もないまま進められていることへの抗議と私は受け止めています。
手稲山口に搬入予定の有害掘削土は90万立米です。札幌市のトンネル工事から出る有害掘削土、要対策土は約115万立米ですから、札幌市はまだ受入地を探しており、工事が続く限りヒ素を含む有害掘削土の搬入は続き、手稲区金山、厚別区山本も候補地のままです。

本市が、札幌市まで延伸してこそ効果があると、あくまでも北海道新幹線2030年開業に固執するならば、市民との信頼関係は大きく損なわれ、将来にわたって禍根を残すことになります。山口処分場への有害掘削土の搬入中止と、原状回復及び北海道新幹線札幌延伸工事は一旦立ち止まるべきだと申し上げて質問を終わります。

 

質問の音声はこちらからお聞きになれます

 

【吉岡 委員】

私は日本共産党所属委員を代表して、陳情第149号に賛成し、採択すべきとの立場で討論します。山口処分場に搬入される要対策土には、人体や生態系に害を及ぼす猛毒のヒ素が高濃度で含有しています。住民は飲料水の汚染や粉塵、そして遮水シートの耐久性への不安、将来にわたる命と健康、そして環境への不安は払拭されず、合意も納得もないまま強引な搬入が進められています。

秋元市長は市民の理解なしに先に進めることはできないとしながら、住民の求める説明会や公開討論会に真摯に向き合おうとせず、有害掘削土の搬入を強行しました。住民は不安と深い憤りをもっております。本市が札幌市まで延伸してこそ効果があると、あくまでも北海道新幹線2030年開業に固執するならば、市民との信頼関係は大きく損なわれ、将来にわたって禍根を残すことになります。よって鉄道運輸機構との協定破棄と山口処理場への有害掘削土の搬入中止、原状回復を求める、本陳情は採択すべきと申し上げて討論を終わります。

 

討論の音声はこちらからお聞きになれます。