2023年3月17日金曜日

第二部予算特別委員会で討論を行いました。

 2023年3月9日、札幌市議会 第二部予算特別委員会で日本共産党所属委員を代表して討論を行いました。

 

討論を行う吉岡市議(=3月9日、札幌市議会)

 

以下、文字起こしで紹介します。

 

 私は日本共産党所属委員を代表して、本委員会に付託されました議案12件中、議案第1号中関係文。議案第5号から議案第7号、議案第15号並びに議案第18号の6件に反対。残余の議案には賛成する立場から討論を行います。

議案第1号一般会計予算中関係文に反対する第一の理由は、生活保護システムのマイナンバー制度対応システム改修費に3200万円が計上されているからです。

国の生活保護受給者の医療扶助の資格確認について、マイナンバーカードを利用する方針に沿って、本市においてもシステムを改修するというものです。
生活保護利用者の病院での資格確認のために、任意であるマイナンバーカードの取得を、事実上強要することになりかねず、通院歴や服薬など機微な個人情報について、本人が望まないのに情報が提供される懸念は拭えません。
また今後様々な個人情報と紐づけされることで管理強化となる恐れもあり反対です。

第二の理由は冬季オリンピック・パラリンピック招致費2億1250万円が含まれているからです。

北海道新聞が昨年12月に行った輿論調査では、札幌冬季五輪招致について、賛成、どちらかといえば賛成が33%。反対どちらかと言えば反対が67%で、前回の調査より10ポイント反対が増えた結果となりました。

東京2020大会は、賄賂疑惑や巨額の経費、差別発言、さらに汚職事件や談合で、市民の不信感は深まり、市長は積極的な機運醸成活動を当面休止せざるを得ませんでした。にもかかわらず、市民の意思を確認もせず、招致活動を推進する予算に反対です。

議案第5号、国民健康保険会計予算並びに議案第18号「国民健康保険条例の一部を改正する条例案」に反対する理由は、保険料が高くなるからです。

国保支払準備基金から物価高騰対策として10億円の繰り入れをし、引き上げ幅を抑えたものの、それでもなお5754円の値上げとなります。国保の加入者の多くが年金生活者や非正規労働者、自営業者です。

そもそも国保料が高く、コロナ禍や物価高騰で生活が厳しく、限度額世帯の保険料引き上げによる中間層の負担軽減措置はすでに限界であり、国保支払い準備基金をさらに取り崩し、市民負担を軽減すべきです。

議案第6号、後期高齢者医療会計予算に反対する理由は、昨年10月から一定の所得のある75歳以上の方の医療費窓口負担を1割から2割に倍化したためです。このことによって本市では26万2000人中(令和2年10月1日)、単身で年金収入200万円以上、2人暮らしで320万円以上の世帯約59000人の高齢者の窓口負担が2倍となりました。物価高騰の中、負担を増やすべきではありません。

議案第7号、介護保険会計予算に反対する理由は、度重なる制度改悪が、耐え難い負担増と、給付減を高齢者に押し付けており、本市は今年度、保険料を据え置いたものの、引き下げなかったためです。

議案第15号、下水道事業会計予算に反対する理由は、都心アクセス道路事業に伴って、創成川通東側・西側に管路の移設をするための工事費用14億円が含まれているからです。

通常管路は可能な限り長寿命化をしていますが、都心アクセス道路整備に入るまでに下水道管移設工事を終了させる必要があるため、管路改築計画にはない工事を行うことになりました。そのことによって、計画的な管路の改築が遅れることが危惧され、また、本来必要のない移設による経費の増額となるからです。

 

次に、本委員会で取り上げました諸課題について、局別に申し述べます。

■最初にスポーツ局です。

大倉山ジャンプ競技場に、宮の森ジャンプ台(ノーマルヒル)を併設するデュアル化計画についてです。

当初、大倉山には大小2つのジャンプ台が併設されていましたが、1972年のオリンピックでは敷地が狭いことから宮の森ジャンプ競技場を建設したと言われます。

本市が2026年の五輪招致を決めようとした際には、宮の森ジャンプ場を利用する計画でしたが、2030招致に向けて変更されました。約90億円で大倉山ジャンプ競技場の再整備を見込みますが、ノーマルヒル併設には61億円かけ、競技エリアと観戦スペースを再整備します。ラージヒルの横にノーマルヒルが建設されることにより、観客との距離ができ臨場感が失われます。また、風致地区である大倉山の遊歩道や樹木など1万平方メートルを伐採する計画です。敷地内の緑化率50%以上の確保と、また、景観にも配慮するとのことでしたが、大会概要計画は、プラス面のみが強調され、聖地である宮の森ジャンプ場をなくすことや、樹木の伐採について、そのためにかかる費用など正確な情報提供がされておりません。不信感の払しょくには、デメリットも含めて市民に明らかにすべきです。

子どものウインタースポーツ塾とスキーリフトクーポン券についてです。

子どものウインタースポーツ塾は、カーリングやアイスホッケー、リュージュなどふだん体験できないスポーツを無料で体験でき、人気も高く、来年度は参加定数を増やして対応するとのことでした。関係団体の意見をお聞きして、充実させていただくよう求めます。

また、スキークーポン券は、回数や利用できるスキー場を増やすこと、中学校も利用できるようにするなど拡充を求めます。

■次に保健福祉局です。

 子ども医療費助成制度についてです。

医療費助成対象を所得制限を撤廃したうえで、高校3年生まで拡大した場合の所要額は、およそ19億3千万円の見込みであるとのことでした。本市の助成制度の拡充は、システム改修に準備を要し段階を踏みました。データの登録処理に時間がかかるほど制度から外れる子どもが多くなりますから、決断が早ければ子育て世帯に歓迎され、また、システム処理の手間も軽減できます。所得制限の撤廃と段階を踏むことなく医療が受けられるよう支援を求めます。

無料低額診療制度についてです。

所得が低い方が医療機関を受診した際、病院代について支払いを無料または低額にする制度ですが、国の医薬分業により、調剤薬局では制度が適用されません。近年は若者や外国人の利用も増え、この10年間で外来では3500件の利用増です。市民のくらしは厳しくなるばかりですから、幅広い周知と医療機関を増やすことが必要です。本市の正確な実態を把握し、助成を検討するべきです。

エキノコックス症の対策についてです。

 人にエキノコックスが感染しても、すぐには自覚症状が現れず、数年から数十年の潜伏期を経て、症状があらわれるため、早期発見、早期治療が大切とされています。本市では近年、市街地や公園などでキツネの目撃が増えていることから、市民からの相談件数が増加しています。市民の安心・安全のため、取り組みを強めるよう申し上げます。

次に、動物の愛護と管理についてです。

 動物管理センターでは毎年600件を超える様々な苦情や相談があり、その中で虐待が疑われる通報は、令和2年度以降30件程度で推移しているとのことです。動物虐待は絶対に許されない犯罪であると周知・啓発と共に、関係機関との連携を求めました。また、マイクロチップの装着は、犬猫が行方不明になった場合、無責任な飼育放棄などを防ぎ、効果が期待されていることから、助成事業の創設の検討を求めます。

エゾシカ対策についてです。

エゾシカによる農業被害が深刻です。電気柵や追い払い活動などとあわせて、鳥獣被害防止対策事業を立ちあげ、総合的な有害鳥獣対策に取り組むとのご答弁でした。本市が主体的に取り組む上では、専門的な知見を有する職員の配置も必要です。あわせて部署間や道など関係機関との連携で広域的かつ長期的な戦略で取り組むよう要望します。

■次に建設局です。

 厚別区山本通り拡幅整備事業についてです。

 JR函館線と現在拡幅工事を行っている山本通りが交差する跨線橋は、基本的には人も車も、跨線橋を渡って南北を往来しています。昨年10月、山本跨線橋から昇降階段で降りたところの市道の横断歩道で中学生の人身事故が発生しました。信号や交差点が少ないことから、車はスピードを出しやすく、夜は暗く基本的に歩道もありません。再発防止を求める住民から信号機設置などの安全対策の要望が出されましたが、設置は難しいとの回答でした。2025年から3年間、跨線橋部分の工事が行われますが、新設する昇降階段については、鉄北線を横断しない、住宅のある北側から昇降階段を利用できるよう、住民とりわけ子どもたちにとっての安全対策を求めます。

藻岩山スキー場の市民ロッジについてです。

藻岩山スキー場の市民ロッジが老朽化し、現行の建築基準に合致しない、いわゆる既存不適格の施設となっているため、建替えや改築の検討を行っているとのことでした。建替え主体は、札幌市に限らず幅広く検討するとのことですが、更新は急がれますので、本市がリードして進めるよう求めます。

■次に都市局です。

市営住宅の家賃減免基準見直しについてです。

現在、「住まいの協議会」で協議されているところです。2011年の見直しで基準が下げられて以降、減免世帯が増加しているにもかかわらず、市の減免額は年間1億5000万円も減り、入居者の負担が増えています。生活保護世帯を除く、低所得世帯を対象とした減免制度ですから、ここ10年で下がり続けた生活保護基準にそって見直すとなれば、さらに基準が下がり低所得世帯の入居者の負担がさらに増える懸念があります。物価高騰が続き、暮らしに困窮している低所得世帯の家賃減免制度の基準を下げるべきではありません。

■次に交通局です。

交通局の痴漢対策における啓発活動についてです。

若者の性犯罪の被害の中で多いのが痴漢です。近年、入学試験日に受験性の心理につけこんだ悪質な犯行がネット上に投稿されていますが、痴漢は受験生の人生を方向転換させる卑劣な行為です。交通局では、受験期に合わせ、北海道庁や北海道警察とともに、周囲のサポートを促す啓発も行っているとのことでした。本市から性犯罪をなくすための強い姿勢と、社会全体で被害をなくしていくために、より効果的な取り組みを行っていただくよう申し上げます。

以上で私の討論を終わります。