伊藤千代子は、共産党に入って間もなく、小林多喜二の小説『1928年3月15日』通り、治安維持法によって、まさにその日に逮捕されました。
獄中でどんな拷問にも屈することなく、反戦と主権在民を掲げて闘いぬいた千代子でしたが、夫の転向、裏切りという耐え難い苦痛のなかで病に倒れ、1929年9月24日、24才で非業の死を遂げました。2年後、日本は満州事変、侵略戦争につき進み、さらに2年後、小林多喜二が虐殺されます。
1929年5月8日に書いた夫浅野の妹宛の手紙には、牢獄の塀に沿って咲く「黄色い地しばりの花」を「…強情な大変力のある面白い花ですよ…命のあるものはみんなあらん限りに生きようとしているのですね。生きようとするからこそ、その大事な命をも投げ出すのですね。」と書いています。
伊藤千代子らのバトンを受けて歩む私たち。激動の世界の中で、地しばりの花のようにたくましくかつしなやかに生き抜きたいものです。
(9月12日 記)
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