2020年8月20日木曜日

「焼き場に立つ少年」

  カトリックローマ教皇が「戦争がもたらすもの」とメッセージを添え、世界に向けて普及を呼びかけ、注目された被爆写真「焼き場に立つ少年」。

 すでに事切れた幼児を背負い、少年は荼毘に付すため、直立不動で炎の前に立ち、血をにじませる程に口を結んでいます。

 撮影したアメリカの従軍カメラマン、ジョー・オダネルさんは、被爆地長崎でこの写真を撮って以降、占領者としてではなく、同じ人間としての存在の原点をカメラに収めるようになります。

  少年の写真をはじめ被爆した子どもたち300枚の写真フィルムは、アメリカ政府には提出せず、40数年間現像されずにオダネルさんのトランクの中にしまわれていました。

 しかし、1989年「核戦争を繰り返さないことに繋がるのなら」と、写真展を開きます。核兵器肯定論の強いアメリカで、バッシングされながらも、2007年8月9日、85才で亡くなるまで戦争反対を訴えました。

 2年前国連で採択された核兵器禁止条約の批准国は44カ国になり、国際法として拘束力をもつための50カ国の批准まであと一歩と迫っています。

 被爆者にも条約にも背を向け続ける日本政府と、「条約の批准」を政府に求めることすらできない札幌市議会。

  75年前の子どもたちのことを忘れず、声を上げ続けるしかありません。

(8月19日 記)