2024年3月22日金曜日

建設業の週休2日推進を

共産党の吉岡ひろ子市議は1日の予算特別委員会で、除排雪や災害対策などで欠かせない建設業の週休2日の推進を求めました。

予算特別委員会で質問する吉岡市議(=3月1日、札幌市議会)

 吉岡市議は「札幌市の発注工事で週休2日制が増えているが、短期間の工事や電気設備など、工程が多い工事、下請けが複数の場合、工期が決まっている場合は、土日も長時間労働を強いられるケースもある。週休2日が取りにくい状況の中、4月からの時間外労働の上限規制対策は」と質問。市側は「担い手不足も踏まえ、ICT技術の活用など、働き方改革が加速できるよう後押ししてゆく」と答えました。

「清田区新聞」2024年3月10日・17日合併号より

 



 以下、文字起こしで紹介します。

(2024年3月1日、第1回定例会 予算特別委員会)

 

【吉岡委員】

 私は、次期「さっぽろ建設産業活性化プラン」の取り組み強化施策である、週休2日制について質問します。市内建設企業の人材確保の状況は、有効求人倍率が4倍と依然厳しい状況のもと、就業者の高齢化と減少が急激に進むもとで、このままでは技術の継承や、 除排雪、災害対策で欠かせない、建設業の体制の維持はできるのかと危惧するところです。


 現行プランの初年度である2020年度から、市が発注する公共工事において 週休2日制の取り組みが進められてきました。250万円以上の工事が対象となっていますが、2020年度は週休2日制の工事発注507件のうち404件が達成し、2021年度は650件中571件、2022年度は958件中824件が達成して、2023年は1123件で発注しているという状況です。そこで質問ですが、本市が発注している工事において、週休2日制の工事が増えている理由と、どのような支援を行ってきているのか伺います。


【小林 土木部長】

 土木部長の小林でございます。週休2日を達成した工事が増えた理由と、取り組む中で行ってきた支援についてお答えいたします。

まず、週休2日の取り組みにつきましては、今のご質問にもありました通り、さっぽろ建設産業活性化プランのなかでも重要な施策として掲げており、2018年度から導入した週休2日工事の試行を着実に進めてきたところです。2022年度に発注した試行工事958件のうち、受注者が希望した824件、86%に当たる工事で4週8休 を達成したところです。

 週休二日を達成した工事が増えた理由といたしましては、週休2日を考慮した必要経費の計上や、適正な工期の設定、工事成績評定における加点などによる受注者への支援が大きな要因と考えております。加えて若い世代の人材確保に向け、受注者の働き方改革に対する意識が高まったことにより、休日確保などの労働環境改善の取り組みが広がったことも要因と考えております。以上です。


【吉岡委員】

 本市の発注の試行で週休2日制をやってきて進められておりますけれど、企業だけではできない取り組みだということで、発注側の取り組みが重要だと思います。

週休2日制の工事が難しいのは短期間の工事や、地面の掘削や、コンクリートの打設、電気設備など工程が多い工事で、下請けが複数の場合です。1つの工程が遅れると、次の工程は早くしようと無理してしようとするため、週休2日制の確保が難しいと思いますが、下請け孫請け含めて週休2日制が取れるようになることが望ましいと思います。働き方改革関連法が建設業に適用開始される2024年今年の4月、いわゆる建設業の「2024年問題」が目前となっています。工期が決まっているので間に合わせるために土日も出ないとならない、長時間労働しなければ終わらないという状況もあり、 上限規制が守れなければ、事業者として労働基準法第119条違反により罰則などもあり、 大変深刻な問題となっています。そこで質問ですが、今年4月から始まる時間外労働の上限規制の問題を、本市はどのように受け止めておられるのか、伺います。


【小林 土木部長】

 時間外労働の上限規制について、札幌市の認識についてお答えいたします。休日の確保に加えまして、2024年4月から建設業にも時間外労働上限規制が適用されることは、企業にとって適正な試行体制を維持していく上で大きな影響があると認識をしております。 札幌市といたしましても担い手不足の現状も踏まえますと、ICT技術の活用といった生産性向上の取り組みも併せて実施していくことで、建設業界全体の働き方改革がさらに加速するよう、後押ししていく必要があると考えているところです。 以上です。


 【吉岡委員】

これまでしてきている試行工事の中では、下請けまで休日を確保して発注し、そのことで週休2日制の工事が進められてきております。今後、週休2日制をさらに広げる中で、下請け・孫請けで実際どうなっているのかを調査するなどして実態をつかんで、施策に活かしていくよう求めます。


 元請けでは週休2日制、時間外労働の上限規制を守られていても、結局そのしわ寄せが下請けに行くことがないよう、余裕を持った休みを保証できる工期、それに伴う必要経費とともに、適切な工事遂行がなされるようにしていただきたい、配慮していただきたいと思います。


 次に民間事業も含め、全体に広げる取り組みについて伺います。国交省の資料に出されていますが、土木工事は公共事業が多く、建築工事は民間の事業が多く、全体で見ると民間の工事額が公共事業を上回っています。市の公共工事では週休2日制が進んでいますが、公共とか民間とかに関係なく広がる必要があります。

 

 現行の札幌建設産業活性化プランは、2020年度から2024年度までの計画期間となっており、さっぽろ建設産業活性化推進協議会では、次期プランに向けての議論が進められ、昨年12月22日の会議で方向性の資料が示され協議されています。 その中で週休2日制についても話し合われております。 

 

 そこで質問ですが、12月に行われた推進協議会で出された資料では、民間工事を受注する企業においては、その対応を休日(土日祝日)に行うことが多い状況、つまり 土日も仕事をし、週休2日制は難しいということが記載されていますが、本市のお考えを伺います。

 

【 小林土木部長】


 民間工事における休日の確保につきまして、札幌市の考えをお答えいたします。建設業界全体で働き方改革を進めていく上で、民間工事における長時間労働の是正も重要な課題と認識をしております。活性化プランの策定に参画する業界団体からも、民間工事を含めた週休2日の確保にあたっては、作業時間が延びることについての市民理解が必要であるというような意見もいただいているところです。

 

 札幌市としてできることは限られるのですが、 民間工事も含む週休2日の取り組みにつきましては、国が行っている働き方改革に関する広報などを参考にしながら、建設産業をPRする各種イベントや、ホームページ等を活用して周知を行い、市民理解の醸成を図っていく考えです。以上でございます。


【吉岡委員】

 札幌市の令和5年度、第4回市民意識調査では、札幌市の建設産業で働く会社を選ぶ場合、「特に重要な条件として」と聞いたところ、若年層ほど休日・休暇をあげ、高くなっています。建設業はまちを支える重要な仕事であり、やりがいがある仕事ですが、 人材確保にとっては休日・休暇がネックとなっています。 市民の理解も必要と考えられております。民間事業に対しても、発注する側としての理解を広げていただいて、建設業で週休2日制が当たり前となるよう取り組んでいただきますよう申し上げまして、質問を終わります。 

 

          こちらから質問の音声をお聞きになれます