12日から第2回定例会が始まりました。
大都市税財政制度・DX推進調査特別委員会で質問する吉岡市議(=6月13日、札幌市議会) |
以下、文字起こしで紹介します。
【吉岡委員】
私からも、R6年度指定都市 国の施策及び予算に関する提案(案)について、2点質問させていただきます。
1点目は、教職員不足への対応と働き方改革の推進についてです。本案には教職員の働き方改革について、財政措置と定数および加配措置の充実などを求めています。 昨年は 要望していませんでしたが、今年復活した項目です。
そこで質問ですが、教職員不足への対応と働き方改革についての要望が今年度復活した理由について伺います。
【生野 財政部長】
教職員不足の対応と働き方改革の推進について、今年度再び提案項目となったのはどのような理由かということについてお答えをいたします。
昨年1月に文部科学省が公表しました「教師不足」に関する実態調査によりますと、令和3年度の始業日時点で小中学校の教師が、全国で2086人不足していることや、指定都市におきましても、20市中17市において「教師不足」が生じているということが明らかになったところでございます。
また、この調査において行われた各教育委員会のアンケートによりますと、産休・育休取得者数や特別支援学級数の増加などによりまして、臨時的任用教員の必要数が増加していると、一方で、なり手が減少しているということが不足の要因として挙げられているところでございます。
「白本」の個別行政分野における提案項目は、複数の項目案の中から、指定都市各20 市が順位付けを行いまして、それらを点数化することによって、上位となったものを選定したものであるところでございます。
本提案が再び提案された選定された理由につきましては、全国的に教職員不足の状況にある中で、各指定都市においても、教職員不足への課題感が高まっているためであるという風に考えてございます。 以上でございます。
【吉岡委員】
本市の今年度の小中学校の教員定数は8,567人で、臨時教員が895人、そして現在の定数に対しての欠員が38人と聞いております。札幌でも欠員がこれだけいるということです。教務主任など学級担任でない職員を担任に据えるなど、教員不足が状態化しています。
文部科学省が昨年行った小中学校の教員の働き方調査では、 国が定めた月45時間を超える残業をしていた教員の割合が、中学校で77.1%、 小学校で64.5%、中学校では過労死ラインの月80時間超が36.6%と衝撃的な実態が明らかとなりました。
1972年の1月に施行された給特法、正式名は「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」ですが、これでは教員に時間外勤務手当を支給しないこととし、その代わりに給料月額の4%、約8時間に相当する教職調整額を支給することとされました。残業時間に見合った残業代が払われない実態は、「定額働かせ放題」とも言われています。
この調査の結果を踏まえ、文科省は、中央教育審議会で給特法の改正や、働き方の改革に向け検討を始めるとされています。 この度の提案(案) には、教職員不足の解消には、 教職調整額の一律支給の見直しや、新たな手当の創出など、実態に即した制度改正を行うべきであると、要請の背景として書かれてあります。そこで質問ですが、月額給与の一律上乗せ分の、教職調整額の廃止を求めるべきだと思いますが、廃止は要望しているのか伺います。
【生野 財政部長】
教職調整額の廃止を求めるべき、廃止を要望しているのかということについてお答えをいたします。教員は教務および勤務態様の特殊性のため、時間外勤務手当の代わりに、教職調整額として、給料月額の4%が一律に支給されているところでございます。しかしながら現在では、制度の導入時と比べまして、教員の平均残業時間の増加や、各教員の勤務時間差の拡大など、状況が大きく変化し、実態との乖離が明らかになってきておりますことから、国において教員の処遇改善のあり方について検討が始まったところと聞いております。
札幌市としましても実態に見合った処遇の確保は、「教員不足」解消のために不可欠と考えておりまして、指定都市市長会を通じて制度の改正と、それに伴う財政措置を国に要望しているところでございます。
教員の処遇改善につきましては、全国的な課題であるため、国の検討状況や、他都市の動向を注視してまいりたいと考えてございます。以上でございます。
【吉岡委員】
教員の処遇改善のためには、 長時間労働解消に向けて、教員にも時間外、休日手当、つまり残業代を払って、業務量に見合った教職員の配置こそが不可欠であります。教職調整額は、10%にすればいい、30%に見直せばよいというものではなく、指定都市として廃止を求めるよう、本市から働きかけるよう求めます。
次に生活保護基準の引き上げについてです。 生活保護基準は、年金や住民税非課税基準、最低賃金などと連動し、基準の引き下げは利用者だけの問題ではありません。
2013年から2015年にかけ、平均6.5%、最大で約10%、扶助費が引き下げられ、削減された総額は過去最大の約670億円に上り、利用世帯の96%に深刻な影響を与えました。全国で生活保護を利用している約千人の人たちが、「基準引き下げは生存権を保障した憲法25条に反する。元に戻してほしい」と、原告となって裁判に立ち上がり、全国30の地裁でたたかわれており、判決が出された21のうち11で生活保護法に違反すると、減額の取り消しを求める判決が言い渡されています。
そこで質問ですが、札幌市は指定都市として、生活保護基準の引き上げを国に求めるよう働きかけをすべきと思いますが、いかがか伺います。
【生野 財政部長】
生活扶助基準額の引き上げについて、指定都市として求めるよう、働きかけをすべきではないかという質問にお答えをいたします。指定都市市長会では、これまで国に対しまして、生活保護費の全額国庫負担や、制度の適正化を推進するための調査権限の強化などを要望してきたところでございます。
一方で生活保護基準につきましては、国がその責任において定めるものでありまして、社会情勢や物価水準などの客観的な検証に基づいて、定期的に見直されるものであると認識をしております。
なお、今年の10月に生活扶助基準が見直されますけれども、今般の物価上昇を考慮し、本来基準額が下がる世帯類型におきましても、当面2年間は臨時的・特例的な措置が講じられるものと聞いております。以上でございます。
【吉岡委員】
今、お答えいただいた通り、 今年10月は5年に1度の生活扶助費の改定時期です。厚労省社会保障審議会 生活保護基準部会の報告書が昨年11月に出された際、 今年10月からの生活保護基準額の減額は見送る方針が公表されました。その後政府は物価対策として2年間に限って、1人当たり 月1,000円を特例的に加算をする、それでも減額になる世帯については、現行の基準額を保障しました。
しかし加算措置を含めても、昨年の消費者物価と今年の消費者物価、両方合わせて2年間で4.7%上昇の政府経済見通しを上回っているのは、18類型の中で2級地‐1の夫婦子1人世帯など、わずか3類型だけとなっています。特に高齢者は、単身、夫婦世帯ともほとんどが据え置きです。保護世帯のうち8割を占める単身世帯では、増額がない恐れもあると生活保護問題対策全国会議が示しております。
結局今回の改定は、生活実態から見れば、実質的に引き下げと言わなければなりません。 もともと引き下げられている保護費でギリギリの生活をしているところに、40年ぶりの物価高が押し寄せ、食料品も日用品も、電気、ガス、灯油も、何もかも値上げする中では切り詰める術も見つかりません。
生活保護基準の引き上げを政令都市として政府に要望するよう、札幌市が働きかけることを求めまして質問を終わります。
こちらから質問の音声をお聞きになれます。