4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下がることに伴う消費者契約について、3月22日に質問しました。
質問する吉岡市議=札幌市議会、3月22日 |
アパート契約やクレジットカードの取得を親の同意がなくてもできるようになる一方で、若い人たちの約6割が、悪質な被害にあうのではないかと、不安を感じています。
最初の話とは違う、あの手この手で悪質な契約を交わされた後でも、これまでは18歳、19歳の若者は、「未成年者取消権」で取り消しができましたが、成人となることで対象外となってしまいました。
この問題に詳しい札幌の弁護士は「成人になれば、親の同意がなくても契約が成立することを知っている業者が、新成人の18歳、19歳にターゲットを移す」と警告しています。
このため、札幌市は昨年末からユーチューブやLINEを使った広告、テレビCMなどで啓発事業に取り組み、消費者庁が作成した高校生向け教材「社会への扉」は札幌市内の高校76校中57校(83%)で活用されています。
本来なら、しばらくは18歳、19歳も暫定的に「未成年者取消権」を使える法律にすることが、セーフティネットとして必要だと思います。
「おかしいな?」と感じたら、早めに消費者庁が開設した「消費者ホットライン188(イヤや―)」に電話しましょう。
(4月4日 記)
以下、質疑を文字起こしで紹介します。
2022年3月22日 第一部予算特別委員会(市民文化局関係)
【吉岡 委員】
私は、成年年齢の引き下げと消費者契約について質問させていただきます。2年前の予算特別委員会で、成年年齢の引き下げがされることについて、我が会派の議員から、未成年者の消費者トラブルやトラブル状況や高校生に対する消費者教育、啓発の取り組み、消費者センター相談員の資質向上や労働環境、人的体制についての質疑がされました。
この質疑を踏まえて、民法改正を目前に控え、改めて質問をさせていただきたいと思います。4月1日の民法改正による成年年齢の引き下げによって、18歳、19歳の人には新たな権利が与えられる一方、義務や責任が生じます。
消費者契約に関して言えば、18歳から保護者の同意なくローンやクレジットカードの契約が可能になります。また、18歳、19歳に未成年者取消権がなくなることで、若年層の消費者被害が懸念されます。そこで質問ですが、最近の札幌市消費者センターにおける若年層の消費者トラブルの相談状況について伺います。
【渡邉 市民生活部長】
市民生活部長の渡辺でございます。札幌市消費者センターにおける若年層の消費者トラブルの相談状況についてのご質問でございます。札幌市消費者センターに寄せられる未成年者を含む20代以下の若年層からの相談は、件数、割合ともに徐々に増加の傾向にあり、令和2年度の件数は約1400件で、全相談件数の約14%と、令和元年度から約3%伸びております。
そのうち未成年者からの相談は、令和元年度、2年度ともに約300件、令和3年度上半期では約130件で、いずれも全相談件数の約3%を占める状況となってございます。
未成年者から多く寄せられる相談は、脱毛などの美容医療の契約に関することやネットゲームの利用による高額請求に関することなどが挙げられます。以上でございます。
【吉岡 委員】
全体の中でも若年層、29歳以下の相談が増えているということでした。また、ネットを使っての相談なども若年層では多いという、そういう傾向が出ているというお話でした。
そこで質問ですが、被害を未然に防止するため、札幌市としてこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、今後どのような取り組みをされるのか伺います。
【渡邉 部長】
若年層の消費者被害未然防止のための取り組みについてのご質問でございます。成年年齢引き下げの動きを踏まえ、教育委員会とも連携を図り、市内高校へ教材を提供し、契約に伴う責任やリスクなどについて、授業で取り上げてもらうよう働きかけており、多くの学校で活用されているところでございます。
また、成年年齢の引き下げを目前に控え、若年層向けの啓発動画を制作し、YouTubeやLINEを活用したWeb広告で昨年末から集中的な広告展開を行っているほか、テレビCMや広報さっぽろ3月号への特集記事の掲載など、当事者である若年層だけでなく、その親世代なども対象に広く啓発を行っているところでございます。
今後も将来を見据え、小中高校への消費者教育教材の提供と活用を促すとともに、新たに発生が懸念される若年層を狙った悪質商法にも対応した情報を啓発内容に取り入れ、各種広告媒体を活用して、注意喚起を行うなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
【吉岡 委員】
様々な努力をされてきたということがわかりました。いただいた資料によりますと、高校生向け教材である「社会への扉」。この活用状況は、札幌市内の高校76校の83%にあたる57校です。4月以降は高校生を含む18歳、19歳が当事者となります。
教育委員会と連携もしながら、全ての高校生への消費者教育がされることが求められると思います。同時に、人生経験も少ない若年層への救済の課題は重視しなければなりません。消費者契約トラブルに詳しい札幌のある弁護士は、「親の同意がなくても契約が成立する。そのことを知っている業者が新成人の若者を狙っていることがうかがえます。18歳成人になれば、18歳、19歳にターゲットが移ると思われる」と指摘をしています。そこで質問ですが、実際に消費者被害に遭った若年層の救済には、相談体制の充実が必要と考えますが、いかがか伺います。
【渡邉 部長】
相談体制の充実についてのご質問でございます。成年年齢引き下げを受け、増加が懸念される若年層からの相談に対し、適切な助言を行い、被害救済に繋げるためには、若年層に多い消費者トラブルについて、消費者センターの相談員が精通することに加え、若年層が相談しやすい環境を整備することが必要と認識をしております。これを踏まえ、最新の消費者問題に習熟できるよう、全国的な課題や事例に対応した研修を全ての相談員に毎年受講させることで、常にスキルアップを図るとともに、若年層も相談しやすいよう、スマートフォンやタブレットからのリモート相談の試験的導入を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
【吉岡 委員】
ぜひ、万全を尽くしていただけますよう申し上げまして、質問を終わります。
質問の音声はこちらからお聞きになれます。