鳥取県松江市教育委員会が、市内の小中学校に、原爆や戦争
の悲惨さを描いた 中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」の閲覧
を、昨年の暮れから制限したことが、この8月に明るみになり、大
きな問題になっています。 教育委員会の制限の背景には極右
的な流れが透けて見えています。
この動きのなかで、漫画「はだしのゲン」が、改めて見直されて、
例年の3倍の売れ行きです。
「性的描写」などが過激で子供には問題ーーといいますが、そう
いうことをごまかし、きれいごとでは原爆や戦争の真実は伝えられないでしょう。
「平和教育」を考える上で、「はだしのゲン」がになった業績はは
かり知れません。
松江市教委は26日に教育委員の会議を開いて正式に今後の
方向をきめるようですが、松江市には、約2000人の市民から意見
が届いていますが、大半は「閲覧制限の撤回」です。
今朝、しんぶん「赤旗」日刊紙に、一巻の表紙が大きく掲載され
ていましたーー主人公ゲンと、ゲンが背負っている栄養失調で死
ぬ赤ん坊の友子、原爆で死ぬ弟進次が、しんぶんを通じてさえ、
絵から飛び出してきそうな勢いです。
悲惨ななかにあっていきいきと輝いています。
じっと見ていたら、涙が滲んできました。
なぜ涙が出たのだろうかーー「ゲン」を「友子」を「進治」を暗闇の
なかに閉じ込めてはならないーー早くだしてあげなくては…という
気持だったのかもしれないし、原爆や戦争で犠牲になった人を社
会から葬らせてはならないという気持ちかもしれません。
もっと考えれば、「ゲン」や「友子」や「進治」にわが子を重ねたの
かも知れません。