2020年6月20日土曜日

「大都市税財政調査特別委員会」で質問

  6月18日(木)市議会「大都市税財政調査特別委員会」が開かれ、国の来年度予算に向けての、政令市の要望についての審議がありました。

 生活困窮者対策では、生活保護被保護者への就労先への回答の「義務付け」、「医療費の一部負担」を要望から外すべき、無料低額診療制度の保険薬局の適用を要望すべき、と質問しました。

 扶助費が削減され続けているなかで、「医療費一部自己負担」を自治体が要望することは許されません。怒りが込み上げます。
大都市税財政調査特別委員会で質問する吉岡市議=6月18日 


 《追記》6月18日の大都市税財政特別委員会で審議された際に、 指定都市共同の国への要望で、私が削除を求めた「生活保護被保護者の医療費一部負担」が、 20政令市の担当局長会議を経て、8市が反対したことで、削除されることになり、訂正され、7月1日の委員会に提出されました。最初要望に入っていた文言を見た時は、怒りで心が震えましたが、 自治体による弱者いじめを許さない全国の声、8市の反対が尊重されたことがせめてもの救いです。



以下、6月18日の質疑を文字起こしで紹介します。
【吉岡委員】
 指定都市「国の施策及び予算に関する提案」、いわゆる白本について、私からも何点か質問させていただきます。

 はじめに、新型コロナウイルス感染症対策推進の感染防止策と、医療体制の整備について、2点質問させていただきます。

 コロナ感染の防止策として、新型コロナ患者を受け入れている医療機関や、医療従事者への必要な支援を講じることが重要だと要望しており、私も急いで支援してほしいと思っております。

 一方、日本病院会などが行った全国調査では、コロナ患者を受け入れていない病院の62.3%が赤字となっている結果が出ています。どの病院も感染症対策や受診抑制によって減収となり、職員の手当てが払えない、経営が成り立たないという実態が浮き彫りになりました。これはどの政令市でも同じことが起こっていると思います。

 そこで質問ですが、感染者の受け入れをしていない医療機関にも財政支援をするよう、要望に加える必要があると思いますが、いかがか伺います

【梅田財政部長】
 新型コロナウイルス感染症に対して、陽性患者を受け入れていない病院に対しても、支援を求めるべきではないかというご質問でございます。

 陽性患者を受け入れていない病院に対する支援につきましては、指定都市としても問題意識を持ってございまして、5月29日の指定都市市長会の提言の中にも盛り込んだところでございます。

 その後、6月12日の国の二次補正が成立しましたけども、この中におきまして陽性患者の受け入れの如何を問わず、病院や診療所等で勤務して患者と接している医療従事者等に給付金の交付を行うこと、あるいは感染拡大防止対策等に要する費用の補助を行うこととなってございまして、一定の支援は行われていくというふうに考えられます。

 二次補正の効果につきましては、今後、評価検証の上、次の対策を考えていくべきものと認識をしてございまして、現時点での要望分からは落ちているというものでございます。以上でございます。

【吉岡委員】
 感染者受け入れ以外の医療機関や、そこではたらく看護師などへの支援の用意があるということですけれど、感染者を受け入れていない病院の職員には、一人一回5万円のみという、わずかなものになっています。

 医療崩壊ぎりぎりという訴えが医療現場や政府の専門家会議から相次いでいます。第3波に備えた医療体制を確立するために、感染者の受け入れをしていない病院を含め、財政支援をさらに求めるべきと申しあげます。

  次に、雇用の維持と経済活性化についてです。中小企業に対しての支援策の充実・強化が示されておりますが、ここに書かれている「各種給付金」には、持続化給付金や雇用調整助成金などが含まれていると聞いております。

 持続化給付金は売り上げが前年比で50%以下となった中小企業に最大200万円、個人事業主には100万円給付される制度ですが、50%まで売り上げが下がっていないため、助成金が受けられず経営が困難な事業者がうまれています。

 支援策の充実・強化として売り上げが20%、30%の減収でも使えるよう具体的に求めるべきと思います。

 そこで質問ですが、中小企業や事業者のみなさんの、このような実態にそった要望にするべきと思いますが、いかがか伺います。

【梅田財政部長】
 持続化給付金等の中小企業に対する支援策の拡充についてのご質問でございます。

 持続化給付金、雇用調整助成金等の、国の中小企業への支援策につきましては、中小企業の事業継続を下支えする重要な施策でございまして、指定都市においても、これまでも支援策のより一層の充実を求めてきたところでございます。

 札幌市は平成28年経済センサス活動調査によりますと、従業者の規模が19人以下の事業所が9割程度と、非常に多くございまして、中小企業対策ということは、札幌市の経済の根幹をなすものとして非常に重要なもの、というふうに考えてございます。そのため、今後は我々としても中小企業の声を聴き、ニーズを把握して、必要に応じて、国に対して要望を続けてまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます。

【吉岡委員】  
 最大の問題は、支援が現場に届くのが決定的に遅く、失業や倒産、廃業が増え続けていることですまた、制度が使えれば事業を継続でき、それが大量失業の危機を防止することになります。ですから困っている事業者のところに行き届く支援策となるよう要望することを求めます。


 次は、個別行政分野関係のうち最後になります、15の「生活保護のさらなる適正化及び生活困窮者支援に対する財政措置」について3点伺います。

 生活保護制度のさらなる適正化を推進するためとして、被保護者の就労先への回答の義務付け、医療費の一部自己負担の導入が要望されております。

 最初の質問は、「被保護者の就労先への回答の義務付け」についてです。被保護者の就労先への回答の義務付けによって、これまでの調査がどのように変わるのか伺います。

【梅田財政部長】
 生活保護の被保護者の就労先への回答の義務付けに関するご質問でございます。生活保護法第29条の規定では、保護の実施期間等は金融機関や雇い主等に資産および収入等の状況について報告を求めることができることになっておりまして、この条文を根拠に、これまでも就労先への回答の義務付けを行ってきたところでございます。

 回答の義務付けをすることによりまして、照会に実効性が生まれ、これまで回答を得られなかった照会先から、回答が得られる効果があるものと考えられます。仮に就労先への回答を義務付けしたとしても、本人の同意をもとに照会を行う運用には変わりがあるものでございません。以上でございます。

【吉岡委員】

 これまでも必要に応じて本人の同意のもとに調査をしてきたことであり、収入に対して疑問などがあるときには、担当のケースワーカが直接被保護者に聞くことが一番の解決法です。

 これまでも要望項目にあった、金融機関の回答の義務付けも同じですが、就労先への回答の義務付けは、被保護者のプライバシーの侵害が強まる懸念があることから、要望すべきではないと申し上げます。

 次に、「医療負担の一部自己負担の導入」についてです。
この要望は2016年の白本に掲載されており、我が党は医療抑制、受診抑制につながること。保護費の削減が実施されている中で、さらなる負担となるという事で反対し、一度要望項目から、はずされていたものです。

 3年間、要望からはずされていたものが、今回なぜ復活したのか、理由を伺います。

【梅田財政部長】
 医療費の一部自己負担が、どういった理由で要望文に記載されたかというご質問でございます。札幌市におきまして、医療扶助の適正化ということは課題というふうに認識してございまして、重複受診に対する受診指導等を通じて適正化への取り組みを行ってきているところでございます。

 他の政令指定都市におきましても、医療扶助の適正化を大きな課題というふうに認識がされておりまして、適正受診につなげていくための動機付けの仕組みとして、医療費の一部自己負担の提案に至ったものでございます。

 これは大都市民生主管局長会議におきまして、白本に掲載する項目を選定するなかで、指定都市として要望する項目として掲載されたという経緯でございます。以上でございます。

【吉岡委員】  
 受診内容を把握するための動機づけというのであれば、ケースワーカーが把握しており、そのことを被保護者と話していくことで、十分把握ができると思います。

 体調が悪くても、保護課のケースワーカーに連絡して、病院にかかることを負担と感じ、がまんする被保護者が今でもいるのです。

 たとえ医療費の一部であっても、そのことがさらなる医療抑制、受診抑制につながる懸念があります。住民の福祉の増進を図ることを旨とする、地方自治体として、医療費の一部負担を要望項目から外すべきと申し上げます。

 最後に、生活困窮者支援に対する財政措置として、無料低額診療制度について質問いたします。

 無料低額診療制度で受診された方の保険調剤薬局での自己負担は、2016年から社会福祉法に基づく事業として、位置づけが明確になるよう大都市主管局長会議を通じて国に要望しているところです。つまり、全国の政令市が必要であるとの認識で国に求めているものであります。

 本市議会においても2019年3月に、保険薬局における調剤費を無料低額診療事業の対象とすることを求める意見書が採択され国に上げております。

 そこで質問ですが、コロナ禍にあり、ますます必要とされる事業であることから、国の施策および予算に関する提案、いわゆる白本でも要望すべきと思いますが、いかがか伺います。

【梅田財政部長】
 無料低額診療制度の保険調剤薬局について要望すべきでは、というご質問でございます。

 札幌市といたしましても、無料低額診療にかかる調剤のあり方につきましては、保健福祉分野に関する要望事項を調整する、大都市民生主管局長会議を通じて、国に働きかけを行っているところでございまして、これは国が責任をもって対応するよう求めているところでございます。

 今回、ご審議いただいております白本要望につきましては、指定都市の各分野の所管局の局長会議におきまして、白本としてふさわしい提案事項を選定して、その中から指定都市首長会として、特に重要性や緊急性の高いものを厳選した結果でございます。以上でございます。

【吉岡委員】
 国が医薬分業を進めた結果として、このような事態が起きているものであります。要望に入れるべきと申し上げます。

 この白本は20政令都市として国に対し、令和3年度にむけた予算に関するものですから、地方自治体として、住民の立場に立った要望となることが重要と考えます。

 地方自治法第1条には、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとするとあり、住民の福祉の増進が地方自治体の基本的な仕事です。

 コロナ禍のもと、特に生活保護の申請は権利である。このことをしっかり周知し、その財源措置を国に求めるべきと強く申し上げて質問を終わります。 



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