2020年10月15日木曜日

第3回定例会 決算特別委員会 「介護事業所と介護従事者支援について」質問しました。

 2020年10月14日(水)第3回定例会 決算特別委員会(保健福祉局関係)で介護事業所と介護従事者支援について質問しました。

 コロナ禍で、利用者さんの楽しみや生き甲斐を支える、介護現場の懸命の努力をリアルに伝えたかった。
その上で減収補てんの財政支援と定期的なPCR検査の実施を求めました。

決算特別委員会で質問する吉岡市議(10月14日)


以下、文字起こしで紹介します。

【吉岡委員】

私は、介護事業所と介護従事者支援について伺います。

 医療保険、年金保険に次ぐ第3の保険として、介護保険が導入されて20年、利用者の世帯構成のトップは、スタート時の3世帯同居から独居になり、それに次ぐ老夫婦世帯と合わせると50%以上が高齢者だけの世帯となっています。

要支援1・2は介護保険から総合事業に移行され、特養施設への入居は原則、要介護3以上に限定されました。

 2020年度改正案では、要介護2までの訪問介護の生活援助サービスと、通所介護サービスを介護保険から市町村事業に移行する案が出ましたが、国民的な反対の声があり、この度は延期となりました。

 介護現場では、新型コロナウイルス感染の恐怖、低賃金、倒産が続く中で、日々奮闘を続けています。

 先日、東京商工リサーチが、8月末から9月の上旬に行った、老人福祉介護事業の倒産などについての調査発表がありました。

 新型コロナのもとで、介護従事者不足、利用者の減少に加え、予期せぬ感染防止対策や、経営環境の激変が新たな負担になっており、今年1月から9月までの倒産件数は、昨年同期と比べ10.5%増の94件と、2000年以降、最多を更新しました。中でも小規模の訪問介護、通所・短期入所介護の倒産が顕著です。

 そこで質問ですが、東京商工リサーチのアンケート調査で、新型コロナの影響が継続していると、83.7%の事業者が回答しています。本市ではどのような実態なのか、また、その認識について伺います。

 

【前 高齢福祉部長】

 介護事業者の経営状況に関わる本市の認識についてお答えいたします。

 市内の感染者数の増加し、国の緊急事態宣言下にあった4月、5月において、介護サービスの種別によっては、介護給付費の減少がみられましたが、6月からは回復傾向が見られ、現在もその傾向にあると考えております。以上でございます。

 

【吉岡委員】

 介護事業所の給付費が、昨年期で9割以上に回復されたことを伺っております。しかし、これは厚労省が6月、経営的打撃が大きい通所系サービスと短期入所系サービスを対象に、救済措置として本来の介護報酬より、2段階上となる報酬区分の算定を認めるなどの特例措置を講じたためではないかと思われます。

 4月、5月は8割以下、6月は9割以上、といっても、もともとぎりぎりの経営状態だった介護事業者にとって、 本来の回復とはいえません。

 2段階上となる報酬区分の算定によって、利用者はサービス回数を減らさざるを得ず、デイサービスに行けない人が生まれています。

 そこで質問ですが、デイサービスに来られない人に対して、誰がどのように対応、対策をしているか伺います。あわせて、高齢者は感染すれば重症化しやすいため、コロナ禍のもとでの介護従事者の負担はどのようなものか伺います。


【前 高齢福祉部長】

 コロナ禍における介護従事者の負担、また、デイサービスに通えないことによります高齢者への対策についてお答えします。

 介護従事者の皆様は、様々な感染対策を行いながら、緊張感を持って常務に当たっていただき、精神的、肉体的な負担がかかっているものと認識しております。

 また、デイサービスなどに通えないことにより、機能低下が懸念される高齢者への対策についてでありますが、デイサービス事業者が、利用者宅を訪問して、デイサービス同様のサービスを提供したり、担当のケアマネージャーが、利用者やご家族の同意を得て、デイサービスから訪問介護に切り替え、利用者の身体状況等の把握を行ったり、ケアマネージャーが、電話連絡などにより、利用者の身体状況等の把握につとめ、家庭内での運動、例えば、「サッポロスマイル体操」を勧めるなどにより、可能な限り身体機能の低下防止に努めているものと認識しております。以上でございます。

【吉岡委員】

 コロナ禍のもとでは、おっしゃる通り、介護従事者は、日々緊張した中で働き、そのなかでも、サービスに来られなかった方々に様々な対応をしております。

 先日、現場の方から、お話を伺いました。通常、通所介護、デイサービスの送迎は、8人乗りワゴン車に、スタッフ2人、利用者6人が乗りますが、今はスタッフ2人に利用者3人です。軽自動車を使った場合は、スタッフ2人に利用者2人です。時間は倍に、ガソリン代などの経費も膨らみます。半日のデイサービスだと、さらに事業所負担が増えます。

 入浴介助は施設の大きさにもよりますが、私が伺った施設では、脱衣室には2人の介助者と利用者2人、浴室は利用者1人に1人の介護者で、1日に20人以上の入浴介助をしています。水分補給をしながら、脱衣室と浴室の担当を交代し、夏の暑さを乗り切ったと聞きました。

 ヘルパーの仕事は複雑で、相互作用的で、専門性が問われ、3蜜を避けることができません。

 デイサービスは、趣味を楽しみにしている利用者が多いのですが、人気のカラオケは完全中止です。将棋、オセロ、麻雀は利用者の楽しみでもあり、認知症の予防にもなりますが、ヘルパーが一つひとつの駒を消毒しながら続けています。

 順番待ちでメンバー交代するたびに、一つひとつの駒の消毒をする。そうやって高齢者の楽しみや生きがいを支えています。

 消毒シートは、みなさんも使われていると思いますが、ある介護事業所では、高齢者の肌に刺激が少ないよう、ボランティアの力を借りて、木綿のウエスを切って、消毒液に浸したものを使っています。

 こうして介護従事者の皆さんは、誇りと、やりがいを持って懸命に、介護にあたっていますが、事業所が今後も存続できるか不安を抱えながら働く方も少なくないと思います。

 そこで質問です。コロナ禍のもとで3密とたたかい、感染と隣り合わせで高齢者を支える介護施設と介護従事者への今後の支援を伺います。

【前 高齢福祉部長】

 介護事業所および、介護従事者対する、今後の支援についてお答えを申し上げます。 

 介護事業所等に対しては、これまでも、マスクの配布および、エタノール消毒液の優先供給が実施されております。

 今後については、国から都道府県、および政令市等に対し、配布用のマスクや、使い捨て手袋が順次送られる予定となっており、数回に分けて介護事業所等に配布予定でございます。

 また、新型コロナウイルス感染症対策にかかる人件費、衛生用品購入費等の、かかり増し経費や、長期間サービス利用を休止していた方の利用再開を支援する取り組みに対して、過去にさかのぼって、北海道と札幌市が、介護事業所に補助金を交付しております。以上でございます。

 

【吉岡委員】

 今までの制度では、コロナ感染者が発生していない介護事業所への支援事業は、道から1回支給される介護サービス提供支援事業だけ、感染者がない事業所では、道からの5万円の慰労金が一度きりです。

 事業所の減収が続けば、従事者に、そのしわ寄せが行き、利用者や、その家族の生活と社会的影響は計り知れません。

 そのためにも介護施設の職員や利用者が、定期的にPCR検査ができるようにすることが不可欠です。介護事業所の減収分の補填と介護従事者への財政支援を求めて質問を終わります。


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